放置すると危険!コンクリートのひび割れの原因と補修方法を解説!

コンクリートのひび割れとは?種類と発生メカニズム

住宅や道路、橋など、私たちの生活に欠かせないコンクリート。丈夫で長持ちするイメージがありますが、実はひび割れが起こることがあります。

コンクリートのひび割れは、建物の耐久性や安全性に影響を与える可能性があるため、その原因や種類、対策について知っておくことが大切です。

ひび割れの種類

コンクリートのひび割れには、その状態や大きさによっていくつかの種類があります。

ヘアークラック

髪の毛のように細いひび割れで、コンクリートの表面にだけ発生します。

構造クラック

ヘアークラックよりも深く、構造物内部にまで達するひび割れです。建物の強度に影響を与える可能性があります。

貫通クラック

コンクリートを完全に貫通しているひび割れで、最も深刻な状態です。早急な対応が必要です。

コンクリートのひび割れ発生メカニズム

コンクリートは、圧縮力には非常に強いのですが、引っ張り力には弱いという性質があります。そのため、様々な原因によって引っ張り力が加わることで、ひび割れが発生してしまします。

コンクリートのひび割れは、放置しておくと建物の耐久性を損なうだけでなく、安全性にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、ひび割れを発見した場合には、早めに適切な補修を行うことが重要です。

コンクリートひび割れの主な原因

コンクリートのひび割れは、様々な要因によって発生します。ここでは、主な原因とその対策について解説します。

乾燥収縮

コンクリートは、硬化する際に水分が蒸発し、体積が収縮します。この現象を乾燥収縮と呼びます。

乾燥収縮は、ひび割れの最も一般的な原因の一つです。特に、初期の養生が不十分だと、乾燥収縮が促進され、ひび割れが発生しやすくなります。

対策

・適切な養生:コンクリート打設後、適切な期間、湿潤状態を保つことが重要です。
・収縮低減剤の使用:コンクリートの収縮を抑制する混和材を使用することで、ひび割れのリスクを軽減できます。

温度変化

コンクリートは、温度変化によって膨張したり収縮したりします。この繰り返しによって、コンクリートにひび割れが発生することがあります。特に、寒暖差が大きい地域や、日当たりの良い場所では、温度変化による影響を受けやすくなります。

対策

・伸縮目地の設置:コンクリート構造物に一定間隔で伸縮目地を設けることで、温度変化による影響を緩和できます。
・断熱対策:コンクリート表面を断熱材で覆うことで、温度変化を抑制できます。

凍結融解

寒冷地では、コンクリート内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで、ひび割れが発生することがあります。凍結した水分が膨張し、コンクリートを破壊するためです。

対策

・耐凍害性コンクリートの使用:凍結融解に強いコンクリートを使用することで、ひび割れのリスクを軽減できます。
・適切な排水対策:コンクリート内部に水分が浸入しないように、適切な排水対策を行うことが重要です。

中性化

コンクリートは、アルカリ性を示すことで、内部の鉄筋を錆から守っています。しかし、空気中の二酸化炭素がコンクリート内部に浸透すると、アルカリ性が失われ、中性化が進みます。中性化が進行すると、鉄筋が腐食し、ひび割れが発生するだけでなく、コンクリートの強度も低下します。

対策

・表面被覆材の塗布:コンクリート表面に、中性化を抑制する被覆材を塗布することで、対策できます。
・定期的な点検:定期的にコンクリートの状態を点検し、中性化の進行状況を確認することが重要です。

塩害

海岸地域では、塩分がコンクリート内部に浸透し、鉄筋を腐食させることがあります。これを塩害と呼びます。塩害は、中性化と同様に、ひび割れやコンクリートの強度低下を引き起こします。

対策

・塩害対策コンクリートの使用:塩分に強いコンクリートを使用することで、塩害のリスクを軽減できます。
・表面被覆材の塗布:コンクリート表面に、塩分浸透を抑制する被覆材を塗布することも有効です。

地震:揺れによる影響

地震の揺れによって、コンクリート構造物に力が加わり、ひび割れが発生することがあります。特に、構造的な脆弱な部分や、経年劣化が進んでいるコンクリート構造物は、地震による被害を受けやすい傾向があります。

対策

・耐震補強:既存のコンクリート構造物を耐震補強することで、地震に対する強度を高めることができます。
・定期的な点検:地震発生後や、経年劣化が進んでいる場合は、定期的にコンクリート構造物を点検し、ひび割れの有無を確認することが重要です。

施工不良

施工時の不手際も、コンクリートのひび割れの原因となります。例えば、材料の配合ミス、不適切な打設方法、養生不足などが挙げられます。

対策

・適切な施工管理:施工前に十分な計画を立て、適切な施工管理を行うことが重要です。
・資格のある業者への依頼:専門知識や技術を持った業者に施工を依頼することで、施工不良によるリスクを軽減できます。

コンクリートのひび割れを放置することの危険性

コンクリートにひび割れが発生した場合、放置しておくと様々なリスクが生じます。

建物の耐久性低下

コンクリートのひび割れを放置すると、建物全体の耐久性が低下し、寿命を縮める原因となります。
ひび割れから雨水などが浸入することで、コンクリート内部の鉄筋が腐食しやすくなり、建物の強度が低下する恐れがあります。

雨水浸入による劣化促進

ひび割れから雨水などが浸入すると、コンクリート内部の劣化が促進されます。
特に、寒冷地では、浸入した雨水が凍結と融解を繰り返すことで、ひび割れが拡大し、コンクリートの劣化が進行します。

鉄筋の腐食

ひび割れから雨水などが浸入し、鉄筋が腐食すると、コンクリートの構造的な問題を引き起こします。
鉄筋の腐食は、コンクリートの強度を低下させるだけでなく、ひび割れをさらに拡大させる原因にもなります。

構造耐力低下

コンクリートのひび割れが進行し、鉄筋の腐食が進むと、建物の構造耐力が低下します。
構造耐力の低下は、地震に対する安全性を損なうだけでなく、最悪の場合、建物の倒壊につながる可能性もあります。

資産価値の低下

コンクリートのひび割れを放置すると、建物の資産価値が低下します。
ひび割れが進行し、建物の劣化が進むと、修繕費用も増大します。定期的なメンテナンスや早期の補修を行うことで、資産価値の低下を抑えることができます。

コンクリートのひび割れは、放置しておくと様々な危険性をもたらします。
建物の耐久性や安全性を維持するためには、ひび割れを発見したら早めに専門業者に相談し、適切な補修を行うことが重要です。

コンクリートひび割れの補修方法

コンクリートにひび割れが発生した場合、その状態や原因に応じて適切な補修方法を選択する必要があります。

Vカット工法

Vカット工法は、コンクリートのひび割れ補修において、ひび割れ部分をV字型にカットし、そこにシーリング材やエポキシ樹脂などの補修材を充填する方法です。ひび割れの幅が比較的大きい場合や、深いひび割れに対して有効な工法です。

Vカット工法の手順

  1. ひび割れ部分の清掃: ひび割れ周辺のゴミやホコリを取り除き、清掃します。
  2. Vカット: ディスクグラインダーなどの工具を用いて、ひび割れに沿ってV字型に溝を掘ります。
  3. 溝の清掃: カットした溝の中の粉塵やゴミをブラシや掃除機などで取り除きます。
  4. プライマー塗布: 補修材の接着性を高めるために、溝の中にプライマーを塗布します。
  5. 補修材充填: 溝の中にシーリング材やエポキシ樹脂などの補修材を充填します。
  6. 表面仕上げ: 充填した補修材の表面を平らに均し、必要に応じてモルタルなどで仕上げます。

Vカット工法の特長

  • 確実な補修: ひび割れ部分を確実に補修することが可能
  • 耐久性: 適切な補修材を使用することで、長期的な耐久性が期待できる

IPH工法

IPH工法(内圧充填接合補強工法)は、コンクリート構造物のひび割れ補修・補強に用いられる、比較的新しい技術です。

IPH工法の手順

  1. ひび割れ部に注入孔を穿孔し、IPHカプセルという特殊な注入器を取り付けます。
  2. IPHカプセルを通じて、低粘度のエポキシ樹脂を低圧で注入します。
  3. 注入時には、コンクリート内部の空気を抜きながら樹脂を充填するため、微細なひび割れや空隙にも樹脂が行き渡ります。
  4. 充填された樹脂は硬化し、ひび割れを接着するとともに、コンクリートの強度を回復させます。

IPH工法の特長

  • 従来の注入工法では困難だった、微細なひび割れや空隙への充填が可能
  • 構造物の強度回復、耐久性向上、寿命延長に貢献
  • 鉄筋の防錆効果、中性化抑制効果も期待できる
  • 環境負荷が少なく、安全性が高い

コンクリートのひび割れ予防策

コンクリートのひび割れは、発生してしまうと補修に手間や費用がかかります。しかし、日頃から適切な予防策を講じることで、ひび割れの発生を抑制し、コンクリート構造物を長く安全に保つことができます。

適切な施工

コンクリートのひび割れは、施工不良が原因で発生することが多くあります。そのため、以下の点に注意して適切な施工を行うことが重要です。

  • 材料の選定: 適切な種類のセメントや骨材を選び、配合を適切に行う。
  • 練り混ぜ: コンクリートを均一に練り混ぜ、品質を確保する。
  • 打設: 型枠内にコンクリートを均一に打設し、締め固めをしっかりと行う。
  • 養生: 打設後、適切な期間、湿潤状態を保ち、乾燥収縮を抑制する。

定期的なメンテナンス

コンクリート構造物のひび割れは、早期に発見し、適切な対策を講じることで、深刻な損傷を防ぐことができます。そのため、定期的なメンテナンスを行い、以下の点に注意してひび割れの有無を確認しましょう。

  • 目視点検: 定期的にコンクリート表面を目視で確認し、ひび割れがないかチェックする。
  • 打音検査: ハンマーなどでコンクリートを叩き、音の違いでひび割れの有無を判断する。
  • 専門家による診断: 必要に応じて、専門家による診断を受け、適切な補修方法を検討する。

環境への配慮

コンクリート構造物を長期的に使用するためには、環境への配慮も重要です。以下の点に注意することで、コンクリートの劣化を抑制し、ひび割れの発生を予防することができます。

  • 中性化対策: コンクリート表面に中性化抑制剤を塗布する。
  • 塩害対策: 海岸地域などでは、塩害対策用のコンクリートを使用する。
  • 凍結融解対策: 寒冷地では、凍結融解に強いコンクリートを使用する。

コンクリートのひび割れ予防策は、適切な施工、定期的なメンテナンス、環境への配慮など、多岐にわたります。これらの対策を総合的に行うことで、コンクリート構造物を長く安全に保ち、ひび割れによるリスクを軽減することができます。

まとめ

コンクリートのひび割れは、建物の美観を損なうだけでなく、放置すれば構造的な問題に発展する可能性も孕んでいます。小さなひび割れでも、内部の鉄筋の腐食を招き、建物の耐久性を大きく損なう原因となりかねません。

早期発見・早期対応の重要性

  • 被害の最小化: 早期にひび割れを発見し、適切な補修を行うことで、被害の拡大を最小限に抑えることができます。
  • 建物の寿命延長: 定期的なメンテナンスと早期対応は、建物の寿命を大きく伸ばすことに繋がります。
  • 安全性確保: ひび割れが進行し、構造的な問題に発展すると、建物の安全性が損なわれます。早期対応は、安全性を確保する上でも非常に重要です。
  • コスト削減: ひび割れが深刻化する前に対応することで、大規模な修繕工事を避け、結果的にコストを抑えることができます。

専門家への相談

もし、ご自身でひび割れの状態を判断するのが難しい場合や、症状が深刻な場合は、専門業者に相談することをお勧めします。専門業者は、ひび割れの原因や状態を正確に把握し、適切な補修方法を提案してくれます。

定期的なメンテナンス

建物を長く安全に保つためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。定期的な点検やメンテナンスを行うことで、ひび割れを早期に発見し、適切な対策を講じることができます。

最後に

コンクリートのひび割れは、早期発見と適切な対応によって、建物の寿命を大きく左右する可能性があります。

コンクリートのひび割れに関して気になる点がございましたら、お気軽に株式会社ベータまでお問い合わせください。
専門のスタッフが誠意をもって対応させていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

森 卓也

森 卓也

㈱ベータ取締役。
平成元年生まれ。三重県亀山市出身。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
大学院在学中に不動産管理法人を設立し、20代で不動産オーナーに。
大学院(MBA)や不動産オーナーの経験を活かし、リフォーム費用を抑えるコツや信頼できる業者選びの秘訣など、リフォームに関して有益な情報を発信。

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