マンションでキッチンリフォーム、配管の注意点は? 

マンションのキッチンリフォーム

マンションでのキッチンリフォームは、デザインや使い勝手だけでなく、「配管」にも注意が必要です。
戸建て住宅とは違い、マンションならではの構造や規約が関わってくるため、事前の確認を怠ると思わぬトラブルを招くことも。

この記事では、キッチンリフォームを成功させるために知っておきたい配管まわりの重要なポイントを、わかりやすく解説していきます。

目次

マンションのキッチンリフォームで配管が重要な理由

マンションのキッチンリフォーム

マンションでのキッチンリフォームを計画する際、見落としがちなのが「配管」の問題です。
間取り変更やおしゃれなデザインを実現しようと思っても、配管の制約によって希望通りに進められないケースが多くあります

また、マンションならではの「共用部分」と「専有部分」の違いも大きなポイント
事前にしっかりと配管まわりを把握しておくことで、スムーズなリフォームを実現することができます。

配管の位置によりキッチンレイアウトが制限される

キッチンのレイアウトを変えたいと思っても、既存の配管の位置によって設置できる場所が限られることがあります
特に排水管は勾配(傾き)を確保しなければならないため、自由に延長したり曲げたりすることが難しい場合が多いです。
アイランドキッチンやペニンシュラ型への変更を希望する際は、配管の移動がどれだけ可能か、事前にしっかり確認しておきましょう。

建物の構造上、配管を自由に動かせないケースが多い

マンションは建物全体の構造によって配管の経路が決まっているため、自由に動かせないことが一般的です
たとえば、コンクリートスラブ(床を支える厚いコンクリート)の中に排水管が埋め込まれている場合、大がかりな工事をしないと配管を変更できないことも。
無理に移動しようとすると、配管トラブルの原因になったり、建物全体に悪影響を与えたりする可能性もあるため、慎重な判断が求められます。

配管工事は専有部分と共用部分の範囲を確認する必要あり

マンションでは、専有部分(個人が自由にリフォームできる範囲)と共用部分(管理組合の許可が必要な範囲)が明確に区別されています。
配管はこの両方にまたがっているケースが多く、例えば床下の排水管や縦管(たてかん:上下階を貫通する配管)は共用部分にあたることも。
共用部分に手を加える場合には管理組合の許可が必要になり、手続きに時間がかかることもあるため、リフォーム計画の初期段階で確認しておくことが重要です。

キッチンリフォーム前に把握すべき配管の種類

マンションのキッチンリフォーム:配管

キッチンリフォームをスムーズに進めるためには、あらかじめ配管の種類とその位置を正確に把握しておくことが重要です。
水回りのトラブルや設計上の制約を避けるためにも、次のポイントを押さえておきましょう。

給水管・給湯管・排水管の位置を確認

キッチンには、日常的に大量の水を使用するため、給水管・給湯管・排水管がそれぞれ設置されています。
これらの位置によって、シンクや食洗機の配置が大きく左右されるため、リフォーム前に必ず確認しておきましょう。

床下or壁内に隠蔽されている場合が多い

マンションの場合、配管は床下や壁の内部に隠蔽されているケースが一般的です。
目視で確認できないため、思わぬ場所に配管が通っていることもあり、工事中に予期せぬ問題が発覚することもあります。
特に築年数が古いマンションでは、図面と現状が異なる場合もあるため注意が必要です。

設備業者に調査してもらうのが確実

配管の正確な位置を把握するには、専門の設備業者に現地調査を依頼するのが最も確実です。
専用の機器で調査を行うことで、配管ルートや老朽状況まで詳しく把握でき、リフォーム後のトラブル防止にもつながります。

ガス管の配置とガス種も要チェック

ガスコンロや給湯器を使用している場合、ガス管の配置も重要な確認ポイントです。
ガス管は基本的に自由に延長・移動できませんし、ガス種(都市ガス・プロパンガス)が異なると、対応する設備も変わるため注意が必要です。
特に都市ガス対応機器は、プロパンガスでは使えないことがあるので、リフォームに合わせて適合する機器選びも大切になります。

換気のためのダクトの有無と位置も重要

キッチンでは、料理中に発生する煙や湿気を外に逃がすために換気ダクトが設置されています。
このダクトの位置もキッチンレイアウトに大きく影響します。

ダクトを延長・移設するには大規模な工事が必要になることがあり、建物全体の換気計画にも関わるため、簡単に動かせない場合がほとんどです。
現在のダクトの位置と出口(外壁に面しているかどうか)を事前に確認して、レイアウト変更の可否を検討しましょう。

キッチンの移動やレイアウト変更時の配管の注意点

マンションのキッチンリフォーム:配管

キッチンを移動したり、レイアウトを大きく変更したりする際には、配管工事が不可欠になります。
しかし、配管には建物構造上の制約や技術的な制限があり、自由に動かせないことも。

ここでは、リフォームを計画する際に押さえておきたい配管の注意点を詳しく解説します。

排水管の位置と勾配に注意が必要

キッチンリフォームで最も注意しなければならないのが排水管です
排水は重力によって流れるため、一定の勾配(傾き)を確保する必要があります

排水管の移設には、ただ位置をずらすだけでは済まず、勾配をきちんと保った新たな配管経路を設計しなければなりません。
勾配が取れないと、水漏れや排水不良、悪臭の原因になるため、慎重な設計と施工が求められます。

排水管の移設は建物の構造上難しいことも

マンションでは、床下の高さ(床スラブから仕上げ床までの空間)が限られているため、排水管に必要な勾配を確保できず、思うように移設できない場合があります
特に直床(コンクリートスラブの上に直接床材を貼る工法)の場合、配管スペースがほとんどないため、キッチンを大きく動かすのは非常に難しいケースが多いです。

こうした場合は、床を一段上げて「二重床」にするなどの対策が必要になることもあり、工事費用や工期が大幅に増える可能性があります。

水道管の移設は比較的容易だが追加工事が必要

給水管・給湯管については、排水管に比べると移設が比較的容易です。
圧力で水を送る仕組みのため、勾配にそれほど厳密な制約がないからです。

しかし、水道管を延長・移動する際には、配管の追加工事が発生し、配管ルートの確保や断熱処理なども必要になります。
また、マンションの場合は、床下・壁内のスペースに限りがあるため、事前に施工業者と詳細な打ち合わせを行うことが重要です。

ガス管の移設にはガス種や容量の再検討が必要

ガスコンロやガスオーブンを使う場合、ガス管の移設も重要な検討事項となります。
ガス管は高い安全基準に則って施工する必要があり、自由に延長・分岐できるわけではありません。

また、都市ガスかプロパンガスかといったガス種によって、必要な設備や施工方法も異なります
加えて、使用する機器によってガス容量(供給量)が不足する可能性があるため、機器の変更やガス会社との事前調整が必要になることもあります。
安全性を最優先に、専門業者と連携しながら慎重に計画を進めましょう。

システムキッチンの選択と配管の関係

マンションのキッチンリフォーム:配管

キッチンリフォームでは、デザインや機能性に目がいきがちですが、配管の位置に適したシステムキッチンを選ぶことも非常に重要です。
特に、排水やガス管の制約を無視すると、思わぬ工事費用の増加や、理想のレイアウトが実現できないリスクが高まります。

ここでは、配管とシステムキッチン選びのポイントを詳しく見ていきましょう。

排水管の位置に合わせたキッチンを選ぶ

シンクの位置を自由に決められると思いがちですが、実際には排水管の位置に大きく左右されます
排水管を大きく移動しようとすると、勾配確保や構造上の制約から工事が複雑になり、追加費用がかさむケースも。

そのため、なるべく既存の排水管の位置に合わせて、シンクや食洗機の配置を検討することが、コストを抑えてスムーズにリフォームを進めるコツです。
プランニング段階で、設備業者に排水位置を確認しながらキッチンを選ぶと安心です。

対面キッチンやアイランドキッチンは配管の制約大

人気の高い対面キッチンやアイランドキッチンですが、これらは従来の壁付けキッチンよりも配管に大きな制約が出ます
特に、部屋の中央部分まで排水管やガス管を延ばす必要があり、床を上げる、二重床を設けるなどの大規模な工事が必要になることが多いです。

さらに、勾配を確保できない場合は、ポンプアップ排水システムなど特別な設備を導入しなければならない場合もあります。
このため、アイランド型や対面型を検討する際は、配管工事の難易度と追加コストを十分考慮して計画を立てることが重要です。

既製品より、オーダーキッチンの方が配管に合わせやすい

既製品のシステムキッチンは、サイズや仕様がある程度決まっているため、配管位置との調整が難しいことがあります。
一方で、オーダーキッチンなら、排水位置やガス管、給水管の取り出し位置に柔軟に対応できるため、既存の配管に無理なくフィットさせることが可能です。

また、オーダーなら収納スペースや作業動線も自由に設計できるため、理想のキッチンに近づけやすいメリットもあります。
配管の移設を最小限に抑えたい場合は、オーダーキッチンを検討するのもひとつの有効な選択肢です。

電気容量に注意!IHヒーターへの変更時は要確認

IH

近年、火を使わない安心感や掃除のしやすさから、ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更を希望する方が増えています。
しかし、IHヒーターは一般的な電化製品に比べて消費電力が大きく、導入には事前に電気容量や配線環境の確認が欠かせません

リフォームをスムーズに進めるためにも、必ず押さえておきたいポイントをご紹介します。

200V電源が必要。分電盤の容量に余裕があるか確認

IHヒーターを設置するためには、通常の100V電源ではなく200V電源が必要になります。
そのため、現在のキッチンに200V対応の専用回路があるか、または新たに設置できるかを事前に確認する必要があります。

また、IHヒーターはかなりの電力を消費するため、家全体の分電盤(ブレーカー)の容量に十分な余裕があるかもチェックしなければなりません。
特に築年数の古いマンションでは、当初設計時の電気容量が少ない場合があるため注意が必要です。

容量不足の場合は電気工事が別途必要

もし分電盤の容量が不足している場合、容量アップのための電気工事が別途必要になります。
この場合、分電盤の交換や電力会社への契約アンペア数変更手続きが必要となり、追加費用や工事期間の延長を見込んでおく必要があります。

また、マンションの場合、共用部分の幹線(建物全体の電源供給設備)の容量制限により、希望する容量アップができないケースもあるため、早めに管理組合への相談も行いましょう。
IHヒーターを安心して使うためには、こうした電気設備の事前確認と計画的な対応がとても重要です。

マンションならではの注意点

注意

マンションでキッチンリフォームを行う場合は、戸建て住宅とは異なる特有の制約に注意が必要です。
工事の自由度や近隣への配慮など、マンションならではのルールやマナーを守ることが、スムーズなリフォーム成功へのカギとなります。

ここでは、特に気をつけたいポイントをまとめます。

管理規約で工事範囲や時間帯など制限の可能性あり

マンションには、各住戸のリフォームに関して定めた「管理規約」や「細則」が存在します。
これらには、工事可能な範囲、施工時間帯、使用できる材料、騒音・振動の制限などが細かく規定されている場合が多く、これを無視して工事を進めるとトラブルに発展することも。

特に、床や壁を壊して行う配管工事や、電気設備の変更工事などは、管理組合への事前申請と承認が必要になるケースが一般的です。
リフォーム計画を立てる前に、必ず管理規約を確認し、不明点は管理会社や管理組合に問い合わせておきましょう。

近隣住民への事前説明と騒音への配慮が必要

マンションでは、壁一枚隔てた隣室や上下階に他の住民が住んでいるため、工事に伴う騒音や振動が大きな問題となります。
リフォーム工事前には、近隣住民への挨拶回りや工事内容・期間の説明を行い、理解と協力を得ることが大切です。

また、工事中も騒音の大きい作業は時間帯を限定する、養生(保護シート)をしっかり行うなど、配慮を徹底しましょう。
トラブルを防ぐためにも、施工業者にも「マンション工事に慣れた会社」を選ぶと安心です。

搬入経路の確認。大型のキッチンは搬入不可の場合も

マンションの場合、リフォームで使用する資材や新しいシステムキッチンの搬入経路にも注意が必要です。
エレベーターのサイズ、廊下や玄関の幅、階段スペースなどによっては、大型キッチンユニットやカウンターが搬入できないケースもあります。

そのため、設置予定のキッチンがマンション内の搬入経路を通れるか、事前に必ず確認しておきましょう。
どうしても搬入できない場合は、パーツを分割して運び現場で組み立てる対応が必要になり、追加費用が発生することもあります。
搬入に関する確認作業も、リフォーム計画の重要なステップのひとつです。

水回りリフォームの実績豊富な業者選びがポイント

業者

マンションのキッチンリフォームを成功させるためには、業者選びが非常に重要です。
特に水回りリフォームは、配管工事の難易度や制約が多いため、経験と専門知識が豊富な業者に依頼することが不可欠です。

ここでは、リフォーム業者を選ぶ際に注目すべきポイントを紹介します。

配管工事の難易度を判断できる目が必要

マンションでは、床下や壁内のスペースに制限があり、配管の移設には高度な技術と判断力が求められます。
現場調査の際に、配管の現状を正確に把握し、工事の可否や必要な対策を的確に説明できるかどうかが、信頼できる業者かを見極めるポイントです。
施工実績が豊富で、過去に同様のマンションリフォームを手がけた経験があるかも確認すると良いでしょう。

キッチンだけでなく、トイレや洗面所などの工事も検討を

キッチン単体のリフォームも可能ですが、同時にトイレや洗面所など、他の水回り設備のリフォームも検討するのがおすすめです。
特に築年数が経過しているマンションでは、配管自体が劣化しているケースも多く、キッチン工事に合わせて配管全体を一新することで、将来的なトラブルを防ぐことができます。
また、まとめて工事を依頼することで、トータルの工事費用を抑えられることもあります。

複数の見積もりを取り、金額だけでなく提案力も比較

リフォーム業者を選ぶ際は、必ず複数社から見積もりを取りましょう
その際、単純に金額の安さだけで比較するのではなく、現場調査の丁寧さ、提案内容の具体性、施工後の保証内容なども重視することが重要です。

例えば、「配管は現状のまま使いましょう」と簡単に済ませる業者よりも、「この部分は交換を推奨します」など、将来を見据えたアドバイスをしてくれる業者の方が信頼できます。
最終的には、価格・品質・提案力のバランスを見ながら、最も納得できる業者を選びましょう。

まとめ

まとめ

マンションでのキッチンリフォームは、戸建てとは異なる多くの制約や注意点があるため、事前の確認と計画がとても重要です。
特に、配管や電気容量などのインフラ面は、リフォーム内容やキッチンのレイアウトを大きく左右するポイントになります。
また、マンション独自の管理規約や近隣住民への配慮も欠かせず、工事をスムーズに進めるためには事前準備とコミュニケーションが不可欠です。

さらに、業者選びもリフォーム成功の大きなカギとなります。
水回りリフォームの実績が豊富な業者を選び、複数の見積もりと提案内容をしっかり比較検討することで、満足度の高いリフォームを実現できるでしょう。

理想のキッチン空間を手に入れるために、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に、計画的に進めていきましょう!

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マンションのキッチンリフォームには、配管や電気工事、管理規約への対応など、専門的な知識と経験が必要不可欠です。
私たち株式会社ベータは、東海エリアで多数のマンションリフォーム実績を持ち、配管工事をはじめとする水回りリフォームにも高い技術力を誇っています。

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この記事を書いた人

森 卓也

森 卓也

㈱ベータ取締役。
平成元年生まれ。三重県亀山市出身。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
大学院在学中に不動産管理法人を設立し、20代で不動産オーナーに。
大学院(MBA)や不動産オーナーの経験を活かし、リフォーム費用を抑えるコツや信頼できる業者選びの秘訣など、リフォームに関して有益な情報を発信。

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