マンションの排水管リフォームの時期と費用について

マンションの排水管リフォームの時期と費用について

マンションに長く住んでいると、見えないところの老朽化が気になってきます。
中でも見落とされがちなのが「排水管」

普段はあまり意識しない部分ですが、劣化が進むと水漏れや詰まりといったトラブルを引き起こし、結果として高額な修繕費用が発生することも。

この記事では、マンションの排水管リフォームの適切な時期と、その際にかかる費用の目安についてわかりやすく解説します。
快適な住まいを維持するために、ぜひ参考にしてください!

目次

マンションで使われる排水管の種類と特徴

マンションで使われる排水管の種類と特徴

マンションの排水システムは、私たちの快適な生活を支える上で欠かせないものです。
しかし、普段目にすることのない場所にあるため、どのような種類があり、それぞれどのような役割を担っているのかご存じない方も多いかもしれません。

ここでは、マンションで一般的に使われる排水管の種類とその特徴についてご紹介します。

汚水管(排水管)

トイレや洗面所、キッチンからの排水を流す管

汚水管は、主にトイレ、洗面所、キッチンからの排水を集めて流す役割を持つ管です。
これらの場所から出る排水は、し尿や食べカスなど、比較的水質汚濁度の高いものが含まれるため、適切な処理が必要です。

材質は主に塩ビ管が使用される

汚水管には、主に塩ビ管(硬質ポリ塩化ビニル管)が使用されます。
塩ビ管は軽量で加工しやすく、耐食性に優れているため、錆びる心配がありません。

また、内面が滑らかなため、汚れが付着しにくく、排水の流れをスムーズに保つことができます。
耐久性も高く、長期的な使用に適しています。

雑排水管

風呂や洗濯機からの排水を流す管

雑排水管は、浴室や洗濯機からの排水を流す管です。
これらの排水は、石鹸水や洗剤などが主な成分で、汚水管の排水に比べて水質汚濁度は低いとされています。

汚水管とは別系統で設置されることが多い

雑排水管は、汚水管とは別の系統で設置されることが多いです。
これは、排水処理の効率化や、万が一の逆流などを防ぐためです。

地域によっては、汚水と雑排水を分けて処理する「分流式」が採用されている場合もあります。

通気管

排水管内の空気を外に逃がす役割を持つ

通気管は、排水管内の空気を外部に排出する役割を担っています。
排水が流れる際に発生する気圧変動を調整し、排水管内が負圧になるのを防ぎます。

排水管の詰まりや悪臭を防ぐために重要

通気管が適切に機能しないと、排水がスムーズに流れなくなったり、「ゴボゴボ」といった異音が発生したりすることがあります。
また、排水トラップ(封水)が破れて下水の臭いが室内に上がってくる「悪臭」の原因になることもあります。

通気管は、排水管の詰まりや悪臭を防ぎ、快適な居住環境を保つ上で非常に重要な役割を果たしています。

排水管リフォームが必要なタイミング

排水管リフォームが必要なタイミング

マンションの排水管は、普段見えない場所にあるため、ついその存在を忘れがちです。
しかし、私たちの生活を支える重要な設備であり、適切な時期にリフォームを行うことで、トラブルを未然に防ぎ、快適な暮らしを維持できます。

ここでは、排水管リフォームを検討すべきタイミングについてご紹介します。

排水管の耐用年数に達したとき

一般的に20〜30年程度で交換が推奨される

排水管にも寿命があり、一般的に20年から30年程度での交換が推奨されています。
この期間はあくまで目安であり、マンションの築年数や排水管の素材によっても異なります。

多くのマンションでは、新築から20年を過ぎたあたりで、排水管の劣化が顕著になり始めることが多いようです。

材質や使用状況によって寿命は変動する

排水管の寿命は、その材質や日々の使用状況によって大きく変動します。
例えば、一昔前のマンションでよく使われていた鋼管は、腐食に弱く、塩ビ管に比べて寿命が短い傾向にあります。

また、排水口に油を頻繁に流す、固形物を誤って流してしまうといった使い方をしていると、管内部の劣化や詰まりを早めてしまう可能性があります。

排水管の不具合が多発するとき

排水管の不具合が多発するとき

詰まりや水漏れが頻繁に起こる場合は要注意

もし、自宅の排水管で詰まりや水漏れが頻繁に発生するようになったら、それはリフォームを検討する重要なサインです。
一度や二度のトラブルであれば、一時的なものかもしれませんが、繰り返し起こるようであれば、排水管の根本的な劣化や損傷が考えられます。

放置しておくと、階下への水漏れなど、さらに大きな被害につながる可能性もあります。

異臭や水の流れが悪い場合もリフォームを検討

排水口から嫌な異臭がする、あるいは水の流れが以前より明らかに悪くなったと感じる場合も、排水管の劣化が原因かもしれません。
異臭は、管内部に汚れが蓄積してヘドロ化しているサインであることが多く、水の流れの悪化は、詰まりの前兆である可能性があります。

これらの症状が見られたら、専門業者に相談し、リフォームを検討することをおすすめします。

大規模修繕工事に合わせて実施する

足場や仮設備の設置が不要になり、費用を抑えられる

マンションの大規模修繕工事は、排水管リフォームを行う絶好のタイミングです。
大規模修繕では、外壁や屋上などの工事のために足場が組まれたり、仮設の設備が設置されたりします。

このタイミングで排水管工事も同時に行えば、改めて足場を組む費用や仮設設備を設置する費用が不要になり、結果としてリフォーム費用を抑えることができます。

他の設備との同時施工で工期を短縮できる

また、大規模修繕工事と合わせて排水管リフォームを行うことで、全体の工期を短縮できるというメリットもあります。
異なる工事を別々に実施するよりも、同じ期間中に複数の作業を並行して進めることで、住民の方々の負担を軽減し、より効率的に工事を完了させることが可能です。

管理組合で大規模修繕の計画がある場合は、ぜひ排水管リフォームも視野に入れてみてください。

排水管リフォームの費用負担と相場

排水管リフォームの費用負担と相場

マンションの排水管リフォームは、規模が大きくなることもあり、費用面が気になる点でしょう。
特に、共用部分と専有部分で費用負担の区分が異なるため、事前に把握しておくことが大切です。

ここでは、排水管リフォームの費用負担の考え方と、その相場について詳しく見ていきましょう。

共用部分の排水管は管理組合の負担

修繕積立金から支出される

マンションの共用部分にあたる排水管のリフォーム費用は、管理組合が負担します。
具体的には、毎月積み立てている修繕積立金から支出されるのが一般的です。

修繕積立金は、マンションの長期的な維持管理のために、各区分所有者から徴収されている費用です。

区分所有者全員で費用を分担する

つまり、共用部分の排水管リフォーム費用は、マンションの区分所有者全員で分担することになります。
これは、マンション全体を維持するための費用であり、個別の住戸に限定されるものではありません。

大規模な工事になるため、事前に長期修繕計画に組み込まれていることがほとんどです。

専有部分の排水管は居住者の負担

自己負担で工事を行う必要がある

一方で、専有部分にあたる排水管のリフォーム費用は、基本的にその住戸の居住者(区分所有者)が自己負担で工事を行う必要があります。
専有部分とは、例えばキッチンや浴室の排水口から、共用部分の縦管に接続するまでの横引き管などが該当します。

水漏れなどのトラブルが発生した場合、個人で業者に依頼し、費用を支払うのが一般的です。

管理組合の了承を得る必要あり

専有部分のリフォームであっても、管理組合の了承を得る必要があるケースがほとんどです。
特に、共用部分に近い場所での工事や、マンション全体の構造に影響を与える可能性のある工事では、事前に管理組合に申請し、承認を得る必要があります。

マンションによっては、指定の業者を利用するよう定められている場合もあるため、事前に管理規約を確認しておくことが重要です。

排水管リフォームの費用相場

排水管リフォームの費用相場

マンション全体の工事で数千万円〜数億円規模

マンション全体の排水管リフォームとなると、その費用は非常に高額になります。
マンションの規模や配管の総延長、工法にもよりますが、数千万円から数億円規模になることも珍しくありません。

これは、共用部分の配管すべてを交換したり、あるいは更生工事を行ったりするためです。

戸当たりに換算すると数十万円〜百数十万円程度

上記のマンション全体の工事費用を戸当たり(一戸あたり)に換算すると、数十万円から百数十万円程度が相場となります。
この金額は、修繕積立金から支払われる分として、各区分所有者が間接的に負担することになります。

専有部分の排水管のリフォームは、個別のトラブル対応になるため、内容にもよりますが、数万円から数十万円程度が目安となるでしょう。
具体的な費用は、工事の内容や業者によって大きく変動するため、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが大切です。

排水管リフォーム工事における注意点

排水管リフォーム工事における注意点

マンションの排水管リフォーム工事は、住戸内で作業が行われることも多く、居住者の方々にとって大きな影響があるものです。
そのため、工事を円滑に進め、トラブルを避けるためには、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。

居住者への事前周知と了承が必要

居住者への事前周知と了承が必要

工事内容や日程、騒音などについて説明する

排水管リフォーム工事を実施する際は、居住者の方々への丁寧な事前周知が不可欠です。
工事の内容、具体的な日程、そして気になる騒音や振動の程度など、詳細にわたる情報を事前に説明しましょう。

特に、日中に在宅されている方や小さなお子さんがいるご家庭にとっては、騒音レベルが生活に直結するため、具体的な対策についても触れると良いでしょう。

理解と協力を得ることが円滑な工事の鍵

居住者の皆さんの理解と協力は、工事を円滑に進める上で非常に重要です。
説明会を開催したり、書面で通知したりするなど、分かりやすく情報を伝える努力が求められます。

質問には誠実に答え、不安を解消することで、トラブルなく工事を進めることができるでしょう。

工事中は水が使えなくなる

断水時間や水の使用制限について事前に通知する

排水管のリフォーム工事中は、一時的に水が使えなくなる時間帯が発生します。
特に、トイレやキッチン、お風呂などの水回りが使えなくなることは、日常生活に大きな影響を与えるため、断水の時間や水の使用制限について、できるだけ具体的に、かつ余裕をもって事前に通知することが大切です。

仮設トイレや代替水源の確保が必要な場合もある

工事の規模や期間によっては、仮設トイレの設置や、飲料水・生活用水のための代替水源の確保が必要になる場合もあります。
特に高齢者や小さな子供のいる家庭、体調のすぐれない方がいる場合は、こうした配慮がより重要になります。

工事計画の段階で、これらの対策についても検討し、居住者に案内するようにしましょう。

工事による騒音や振動に配慮する

作業時間の制限や防音対策を講じる

排水管の切断や溶接、配管の撤去・設置など、工事には騒音や振動を伴う作業が少なくありません。
居住環境への影響を最小限に抑えるため、作業時間の制限を設けることや、可能な範囲での防音対策を講じることが求められます。

例えば、早朝や夜間の作業は避け、日中の特定の時間帯に限定するなど、居住者の生活リズムに配慮した計画を立てましょう。

近隣への影響を最小限に抑える努力が求められる

工事を行う住戸だけでなく、上下左右の近隣住戸への影響も考慮しなければなりません。
騒音や振動に関するクレームを防ぐためにも、工事前に近隣住戸への挨拶や説明を丁寧に行い、工事期間中も居住者からの意見に耳を傾ける姿勢が大切です。

状況によっては、一時的な宿泊先の提供など、より手厚い対応が必要になるケースも考えられます。

排水管リフォームを検討する際のポイント

排水管リフォームを検討する際のポイント

マンションの排水管リフォームは、一度行えば長期的に安心できるものですが、計画なしに進めると思わぬ落とし穴にはまることもあります。
ここでは、リフォームを成功させるための重要なポイントをまとめました。

定期的な点検とメンテナンスを怠らない

定期的な点検とメンテナンスを怠らない

早期発見と速やかな対処が大事

排水管の劣化は、目に見えない場所でじわじわと進行します。
そのため、定期的な点検とメンテナンスは非常に重要です。

小さなサインを見逃さず、早期発見と速やかな対処を心がけることで、大規模な工事を未然に防ぎ、費用を抑えることにもつながります。

管理会社や専門家に相談するのも有効

「最近、排水の流れが悪いな」「なんとなく変な臭いがする」と感じたら、まずは管理会社や排水管の専門家に相談してみましょう。
プロの目で見てもらうことで、問題の早期特定や適切なアドバイスが得られます。

自分たちで判断しきれない場合も、遠慮なくプロの力を借りるのが賢明です。

リフォーム工事は計画的に進める

大規模修繕のタイミングを見計らう

以前にも述べたように、マンション全体の大規模修繕工事のタイミングは、排水管リフォームを行う絶好の機会です。
足場設置費用などのコスト削減はもちろん、住民への負担も最小限に抑えられます。

長期修繕計画を確認し、最適な時期を見計らいましょう。

資金計画や工事内容を綿密に検討する

排水管リフォームは、多額の費用がかかる可能性があるため、綿密な資金計画が不可欠です。
修繕積立金の状況を確認し、必要に応じて一時金の徴収なども検討する必要があります。

また、工事内容についても、管の交換(取り替え工事)が良いのか、あるいは管の内部を補修する(更生工事)で十分なのかなど、専門家と相談しながら最適な方法を選定することが大切です。

信頼できる施工業者選びが肝心

信頼できる施工業者選びが肝心

実績や専門性、アフターフォローを重視する

排水管リフォームは専門性の高い工事です。
そのため、実績が豊富で、排水管工事に特化した専門知識を持つ業者を選ぶことが重要です。
過去の施工事例を確認したり、技術力や対応力をチェックしたりしましょう。

また、工事後のアフターフォロー体制がしっかりしているかどうかも、長期的な安心のために見逃せないポイントです。
万が一、工事後に不具合が発生した場合に、迅速かつ丁寧に対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。

複数社から見積もりを取り、比較検討する

費用面だけでなく、工事内容や提案の質、担当者の対応などを総合的に比較検討するためにも、必ず複数社から見積もりを取りましょう
それぞれの業者の強みや弱みを把握し、納得のいく形でリフォームを進めることが、後悔しないための秘訣です。

安さだけで飛びつかず、品質や信頼性を重視した選択を心がけてください。

東海エリアのマンションリフォームはベータにお任せください!

株式会社ベータ

マンションの排水管リフォームは、専門的な知識と豊富な経験が必要な工事です。
もし、東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県)にお住まいで、排水管の劣化やトラブルでお困りでしたら、ぜひベータにご相談ください!

ベータは、東海エリアを中心に、長年にわたりマンションの大規模修繕や各種リフォームを手掛けてまいりました。
特に排水管リフォームにおいては、豊富な実績と専門知識を持つスタッフが、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。

「最近、排水口から嫌な臭いがする」「水の流れが悪くなった気がする」「築年数が古いので、そろそろ排水管の状態が心配」といったお悩みはありませんか?
ベータでは、無料での現地調査と丁寧なヒアリングを通じて、お客様のマンションの排水管の現状を正確に把握し、必要な工事内容や費用、工期について分かりやすくご説明いたします。

また、大規模修繕工事と合わせて排水管リフォームをご検討されている管理組合様からのご相談も大歓迎です。
全体的なコスト削減や工期短縮についても、最適なご提案をさせていただきます。

排水管リフォームは、快適で安心なマンションライフを維持するために欠かせない投資です。
経験豊富なベータの専門家が、お客様の大切なマンションの排水管を適切に診断し、高品質な施工で皆様の暮らしをサポートいたします!

東海エリアでのマンション排水管リフォームは、信頼と実績のベータにぜひお任せください!

まとめ

まとめ

マンションの排水管は、普段は私たちの目に触れることのない場所で、日々の生活を支える重要なインフラです。
しかし、時間が経てば必ず劣化し、適切な時期にメンテナンスやリフォームを行う必要があります。

この記事では、マンションで使われる排水管の種類とその役割から、リフォームが必要になるタイミング、費用負担の考え方と相場、そして工事における注意点や業者選びのポイントまで、詳しく解説しました。

  • 排水管の種類と役割: 汚水管、雑排水管、通気管がそれぞれの役割を担い、快適な排水環境を保っています。
  • リフォームのタイミング: 一般的に20〜30年が交換の目安ですが、詰まりや水漏れ、異臭が頻発する場合は早めの検討が必要です。大規模修繕工事に合わせて行うと、費用を抑えられるメリットもあります。
  • 費用負担と相場: 共用部分は管理組合負担、専有部分は居住者負担が基本。全体の工事では高額になりますが、戸当たりに換算すると数十万円から百数十万円が目安です。
  • 工事の注意点: 居住者への事前周知と協力が不可欠で、工事中の断水騒音・振動への配慮が求められます。
  • 検討のポイント: 定期的な点検を怠らず、リフォームは計画的に進めることが重要です。そして何より、信頼できる施工業者を選ぶことが、安心・安全な工事の鍵となります。

ご自身のマンションの排水管の状態に少しでも不安を感じたら、まずは管理会社や専門家に相談してみましょう。

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この記事を書いた人

森 卓也

森 卓也

㈱ベータ取締役。
平成元年生まれ。三重県亀山市出身。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
大学院在学中に不動産管理法人を設立し、20代で不動産オーナーに。
大学院(MBA)や不動産オーナーの経験を活かし、リフォーム費用を抑えるコツや信頼できる業者選びの秘訣など、リフォームに関して有益な情報を発信。

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