マンションの断熱リフォームの種類と費用相場を解説

「冬は寒くて暖房が効きにくい」「夏はエアコンをつけても暑い」――そんなお悩みを抱えるマンション住まいの方も多いのではないでしょうか。
実は、その原因の多くは住まいの“断熱性能”の低さにあります。
戸建てと比べると、マンションは鉄筋コンクリート構造などにより断熱性が高いと思われがちですが、実際には窓や床、壁などからの熱の出入りが多く、冷暖房効率が悪くなっているケースも少なくありません。
そんな問題を解決するのが「断熱リフォーム」。室内の快適性を高めながら、光熱費の削減や結露の防止、住まいの劣化防止にもつながる注目のリフォームです。
本記事では、マンションで行える断熱リフォームの種類や工事方法、費用の相場、利用できる補助金制度などを詳しく解説します。快適な暮らしの第一歩として、ぜひご参考ください。
目次
マンションでできる断熱リフォームの種類と工事方法

マンションでも、断熱性能を高めるためのリフォームはさまざまな方法があります。
部屋の内側から施工する方法が中心となりますが、窓や壁、床など、住戸内の断熱性を改善することで、冷暖房効率が向上し、快適な住環境を実現できます。
ここでは、代表的な断熱リフォームの種類とその工事方法について解説します。
壁や床の断熱性能を高める方法

マンションの断熱性を高めるには、まずは面積の大きな「壁」と「床」の見直しが効果的です。
これらの部分から外気が伝わることで、室内の温度が安定しにくくなります。
壁の断熱リフォーム
壁の断熱リフォームには、主に「内断熱工法」が用いられます。
壁の内側に断熱材を貼り、その上から石膏ボードなどで仕上げる方法です。
グラスウールや発泡ウレタンなどの断熱材がよく使われ、施工期間は数日程度。
なお、マンションでは管理規約の関係上、外壁の工事はできないことが多いため、内側からの施工が一般的です。
工事中は一時的に家具の移動などが必要になりますが、冬の寒さや夏の暑さを軽減する効果が期待できます。
床の断熱リフォーム
床からの冷えを防ぐには、床材の下に断熱材を敷き込む方法が有効です。
フローリングを一度剥がし、その下に断熱材を設置したうえで新しい床材を張る「床下断熱リフォーム」が一般的です。
また、床材そのものを断熱性の高いものに変更する選択肢もあります。
床暖房と組み合わせることで、より効果的な断熱性能が得られます。
窓やドアの断熱性能を高める方法

開口部である「窓」や「ドア」は、熱の出入りが最も多い部分です。
これらを断熱仕様にリフォームすることで、室内の温度を一定に保ちやすくなります。
窓の断熱リフォーム
窓の断熱リフォームには、以下のような方法があります。
📌単板ガラスから複層ガラス(ペアガラス)への交換
📌断熱性能の高い樹脂サッシへの交換
ただし、マンションでは共用部分にあたる窓枠の交換が制限される場合があるため、事前に管理組合への確認が必要です。
内窓(インナーサッシ)の設置
管理規約の制限を受けずに、断熱性を高められる方法として注目されているのが「内窓の設置」です。
今ある窓の内側に新たな窓を取り付けることで、空気の層が生まれ、高い断熱効果を発揮します。
また、防音や結露防止の効果もあるため、リフォームの満足度が高いのが特徴です。
工期は1日で完了するケースも多く、比較的手軽にできる断熱リフォームとして人気があります。
外壁や屋根の断熱塗装リフォーム

マンションの外壁や屋根に遮熱・断熱塗料を塗ることで、建物全体の温度上昇を抑える方法もあります。
ただし、これらの部分は共用部にあたるため、個人での施工はできません。
大規模修繕工事のタイミングで、管理組合が導入を検討するケースが一般的です。
遮熱塗料を使用することで、夏場の直射日光による熱の侵入を抑え、冷房効率が高まります。
住戸全体への効果が見込めるため、建物の長寿命化と省エネ対策として注目されています。
マンションの断熱リフォームにかかる費用の相場

断熱リフォームは、快適な住環境を実現するうえで非常に効果的ですが、気になるのが「どのくらい費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。
ここでは、リフォーム箇所ごとの費用の目安と、全体的な予算感について解説します。
工事内容や住戸の広さによって価格は変動しますが、一般的な相場を知ることで計画が立てやすくなります。
壁や床の断熱リフォームの費用目安

壁の断熱リフォーム
壁の内側に断熱材を施工するリフォームでは、使用する断熱材の種類や施工面積によって費用が変わります。
- 費用の目安:1㎡あたり 1万~2万円程度
- 6畳の部屋(約10㎡の壁面)の場合:10万~20万円前後
間取り変更などの内装工事を伴うと、さらに費用が上がる可能性があります。
床の断熱リフォーム
床材の下に断熱材を敷き込む方法や、断熱性能の高い床材に張り替える方法があります。
- 費用の目安:1㎡あたり 1.5万~2.5万円程度
- 6畳の部屋の場合:約15万~25万円程度
床暖房と組み合わせる場合は、さらに10万~30万円程度の追加費用がかかるケースもあります。
窓の断熱リフォームの価格帯
窓は熱の出入りが多い場所であり、リフォームの効果を実感しやすいポイントです。
以下は主な方法とその費用の目安です。
複層ガラス(ペアガラス)への交換
✅費用の目安:1窓あたり 5万~10万円程度(窓の大きさや仕様による)
ただし、マンションの規約によっては窓枠の交換ができないこともあるため、事前確認が必要です。
内窓(インナーサッシ)の設置
✅費用の目安:1窓あたり 4万~8万円程度
施工費込みで1窓5万~10万円程度が一般的です。
補助金制度の対象になりやすいため、コストを抑えられる可能性もあります。
外壁・屋根の断熱塗装リフォームの費用感
外壁や屋根の断熱塗装は、建物全体の温度管理に効果的ですが、これらはマンションの共用部にあたるため、個人では実施できません。
通常は管理組合が大規模修繕工事の一環として実施するケースが多いです。
- 費用の目安(建物全体):数百万円~数千万円規模(規模・塗料・施工業者による)
- 住戸あたりの負担金:10万~30万円程度(管理費や修繕積立金からの分担)
断熱性能を高める「遮熱塗料」や「断熱塗料」は、一般の塗料より割高ですが、冷暖房コストの削減につながります。
断熱リフォームの平均的な総費用
マンションの1住戸における断熱リフォーム全体の費用感は、施工範囲やグレードによって大きく変わりますが、目安としては以下のとおりです。
- 最低限の断熱リフォーム(内窓設置+部分的な床・壁断熱):20万~50万円前後
- 複数箇所にわたる本格的な断熱リフォーム:50万~150万円程度
- 床暖房の導入や高性能素材使用などこだわりのリフォーム:150万~300万円以上
また、補助金制度(例:こどもエコすまい支援事業、先進的窓リノベ事業など)を活用すれば、数万~十数万円の費用軽減が可能な場合もあります。
マンションの断熱リフォームを行うメリット

断熱リフォームは、単なる「寒さ・暑さ対策」だけにとどまらず、暮らしの質や住宅の寿命にも大きな影響を与える重要なリフォームです。
ここでは、マンションで断熱リフォームを行うことによって得られる代表的なメリットを紹介します。
冬の寒さ・夏の暑さを和らげ、快適な室内環境を実現

マンションは、建物全体の構造や立地条件によって、季節ごとの温度差が大きくなることがあります。
特に角部屋や最上階などは、外気の影響を受けやすく、冬は冷え込み、夏は熱がこもりやすい傾向があります。
断熱リフォームを行うことで、外気の影響を受けにくい室内環境をつくり、一年を通して快適な温度を保つことが可能になります。
冷暖房に頼りすぎず、自然な温度で暮らせる空間は、ストレスを軽減し、より心地よい住まいへと変わります。
光熱費の節約につながる
断熱性能が高まることで、冷暖房効率が大幅にアップします。
これにより、エアコンや暖房機器の使用頻度や稼働時間が減り、月々の光熱費を抑えることができます。
実際に、窓の断熱リフォームや内窓の設置だけでも、年間で1〜2万円以上の電気代削減につながるケースもあります。
初期投資は必要ですが、長期的に見れば経済的なメリットは非常に大きく、費用対効果の高いリフォームといえるでしょう。
結露やカビの発生を抑え、住まいの長寿命化に寄与

断熱性の低い住まいでは、室内と外気の温度差が大きくなることで「結露」が発生しやすくなります。
結露は見た目の不快感だけでなく、カビの原因となり、壁材や建材の劣化を早めてしまうこともあります。
断熱リフォームを行うと、室内の温度変化が緩やかになるため、結露の発生を抑えることができます。
これにより、建物内部の劣化リスクが減少し、住宅の耐久性が向上。マンションの資産価値の維持にもつながります。
健康的で快適な暮らしを支える
断熱リフォームによって室温が安定すると、急激な温度差による体への負担が軽減されます。
特に冬場の浴室やトイレで起こりやすい「ヒートショック」のリスクが減ることで、高齢者や小さなお子さまのいるご家庭でも安心して暮らすことができます。
また、結露やカビが抑えられることで、アレルギーや呼吸器系のトラブルのリスクも軽減。
断熱リフォームは、家族全員の健康を守るための、重要な住宅改善といえるでしょう。
マンションの断熱リフォーム工事前に確認すべきポイント

マンションで断熱リフォームを行う際は、戸建て住宅とは異なる注意点があります。
スムーズかつ効果的な工事を実現するためには、事前の確認や準備がとても重要です。
ここでは、工事前に押さえておきたいポイントを4つに分けて解説します。
マンションの管理規約を確認し、必要な手続きを行う

マンションには、住民の共同生活を円滑に保つために「管理規約」や「細則」が設けられており、リフォームにも一定のルールがあります。
特に窓や玄関ドア、外壁などの共用部分に関しては、個人での変更が原則禁止されていることが多いため注意が必要です。
たとえば、窓ガラスやサッシを交換したい場合、共用部に該当するため管理組合の承認が必要となるケースがほとんどです。
内窓の設置のように専有部分で完結するリフォームであっても、事前の申請や工事届けの提出が求められることがあります。
トラブルを避けるためにも、まずは管理規約をしっかり確認し、必要な手続きを早めに進めておきましょう。
リフォームの範囲と優先順位を明確にする
断熱リフォームは、施工範囲が広くなるほど費用も工期も増加します。
そのため、まずは「どこを」「どの順番で」断熱したいのか、目的や予算に応じて優先順位を明確にすることが重要です。
たとえば、寒さが厳しい冬を快適に過ごしたいなら、窓や床など冷気が伝わりやすい部分から手を入れるのが効果的です。
一方、暑さ対策を重視するなら、日差しの入りやすい南向きの窓や外壁への対応がポイントになります。
また、「冷暖房効率を上げたい」「結露を防ぎたい」など、目的別に最適なリフォーム箇所は異なるため、プロに相談しながら最適なプランを立てましょう。
部屋の位置や向きによる断熱性能の違いを考慮する
マンションの断熱性能は、住戸の位置や方角によって大きく異なります。
たとえば、角部屋や最上階の部屋は外気に接する面が多く、夏は暑く、冬は寒くなりやすい傾向があります。
また、北向きの部屋は日照時間が少ないため、特に冬場は室温が下がりやすくなります。
こうした立地条件を踏まえたうえで、より断熱効果の高いリフォームを選択することが重要です。
部屋の向きや位置に応じた断熱材の厚みや施工箇所の選定を行うことで、効率的かつ効果的な断熱が実現できます。
結露の原因を理解し、適切な対策を講じる
断熱リフォームの目的の一つに「結露の軽減」がありますが、正しい知識がないと、かえって結露を悪化させてしまうこともあります。
結露は、暖かい室内の空気が冷たい面(窓ガラスや壁など)に触れて水滴になる現象です。
たとえば、窓の断熱性だけを高めて室内の湿気対策をしないと、他の冷たい部分に結露が移動してしまうことがあります。
そのため、断熱材の施工だけでなく、換気設備の見直しや除湿機の併用など、湿度管理を含めたトータルな対策が必要です。
結露の発生箇所や生活習慣に合わせて、最適な方法を選びましょう。
マンションの断熱リフォームで利用できる補助金制度

断熱リフォームは快適な住環境を実現するだけでなく、補助金制度を活用することで費用の負担を大きく軽減できる可能性があります。
特に近年は、省エネ住宅推進の一環として、国や自治体による支援が充実しています。
ここでは、マンションの断熱リフォームで活用しやすい代表的な補助制度をご紹介します。
先進的窓リノベ2024事業
国土交通省・経済産業省・環境省が連携して実施している「先進的窓リノベ2024事業」は、高性能な断熱窓への改修を対象に補助を行う制度です。
主に「内窓の設置」や「窓ガラス・サッシの交換」などが対象となり、補助額は窓の大きさや性能等級に応じて最大1窓あたり数万円にのぼります。
【主なポイント】
✅対象:戸建て・マンション問わず、既存住宅の窓改修
✅補助額:最大1戸あたり200万円まで
✅対象工事例:内窓設置、ガラス交換、外窓交換(共用部は対象外)
✅申請方法:登録事業者が行うため、事前に対応可能な業者に依頼する必要あり
この制度は人気が高く、予算上限に達し次第終了となるため、早めの申し込みがおすすめです。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が実施する補助制度で、住宅の省エネ性能向上を目的とした断熱改修工事が対象となります。
【対象となる工事例】
📌壁・床・天井などへの断熱材の施工
📌窓やガラスの断熱性能向上
📌気密性の改善など
【補助額の例】
補助率:対象工事費用の1/3以内
上限額:1戸あたり数十万円~(工事内容による)
この制度も登録事業者経由での申請が必要となるため、施工会社に相談して対応状況を確認しましょう。
自治体独自の補助金制度の有無を確認する
国の制度以外にも、都道府県や市区町村が独自に実施している補助制度が存在します。
特に大都市や寒冷地の自治体では、省エネ・断熱性能向上に対する支援が手厚い傾向にあります。
【確認のポイント】
✅「住宅リフォーム補助」「省エネ改修助成」などの名称で実施されていることが多い
✅補助額は数万円〜数十万円と幅広い
✅所得制限や施工業者の指定など、条件付きの場合もある
申請期間が限られていたり、予算枠に限りがあったりするため、住んでいる地域の自治体の公式サイトを確認するのが第一歩です。
リフォーム減税制度の活用も視野に入れる
補助金制度に加えて、断熱リフォームは税制面での優遇を受けられる可能性もあります。
主に次のような減税制度があります。
▼住宅ローン減税(省エネ改修)
✅一定の断熱性能向上を伴うリフォームが対象
✅ローンを利用して改修した場合、年末ローン残高の一定割合が所得税から控除
▼固定資産税の減額措置
✅断熱改修工事を行った住宅に対し、一定期間の固定資産税が1/3減額されるケースもあります(市区町村によって異なる)
これらは補助金と併用できる場合が多いため、施工会社や税理士に相談しながら上手に組み合わせて活用することが大切です。
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まとめ

マンションの断熱リフォームは、快適な住環境の実現や光熱費の削減、住まいの長寿命化に大きく貢献するリフォームです。
特に窓や壁、床といった断熱性能が低下しやすい箇所への適切な施工は、室内の温熱環境を大きく改善します。
一方で、マンション特有の管理規約の確認や工事可能範囲の把握、補助金制度の活用など、注意すべきポイントも多くあります。
事前準備をしっかりと行い、信頼できる専門業者と連携することで、満足度の高いリフォームを実現できます。
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断熱リフォームは、「今の住まいをもっと好きになる」ための一歩です。長く快適に暮らすために、ぜひ前向きにご検討ください。