マンションリフォームでコンセント増設する方法と費用

スマートフォン、家電、パソコンにゲーム機——現代の暮らしでは、気づけばコンセントが足りない!と感じることも多いのではないでしょうか。
特にマンションでは、間取りや設備が限られているため「ここにコンセントがあったら便利なのに…」と感じる場面も少なくありません。
そこで今回は、マンションでのコンセント増設の方法や注意点、気になる費用の目安について、わかりやすく解説していきます。
これからリフォームを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
マンションでコンセント増設が必要なケース

日常生活の中で、「もう少しコンセントがあれば便利なのに…」と感じたことはありませんか?
特に築年数が経っているマンションでは、現代のライフスタイルに対してコンセントの数や位置が合わなくなってきているケースが多く見られます。
ここでは、コンセント増設が必要となる代表的なケースを紹介します。
家電製品の増加に伴う電源不足

ひと昔前に比べて、家庭で使用する電化製品の数は大きく増えています。
テレビや冷蔵庫といった大型家電に加え、スマートスピーカーやロボット掃除機、調理家電など、新しい機器が次々と登場しています。
しかし、従来のマンションではそれらを同時に使う想定がされておらず、タコ足配線でしのいでいるご家庭も多いのではないでしょうか。
こうした配線は見た目が悪くなるだけでなく、火災などのリスクも高まるため、必要に応じてコンセントの数を見直すことが重要です。
部屋のレイアウト変更による不便さ
模様替えや家具の配置変更をした際に、「コンセントの位置が合わなくなった」と感じることはよくあります。
例えば、ソファやテレビ台を移動したことで、家電の電源コードが届かなくなったり、配線が部屋の中央を横切ってしまったり…。
このような不便を解消するためには、レイアウトに合わせてコンセントの位置を最適化するリフォームが効果的です。
日常的に使う場所にコンセントがあるだけで、暮らしやすさが格段にアップします。
テレワークなど生活様式の変化に対応
近年、テレワークやオンライン授業など、自宅でのPC作業が増えたことにより、ワークスペースの確保と共に安定した電源供給の重要性も高まっています。
ノートパソコンやモニター、ルーター、プリンターなど、多くの機器を使用するにはコンセントが不足しがちです。
また、延長コードでしのぐことはできますが、見た目や安全面を考えると、あらかじめ専用のコンセントを設置した方がスマートです。
リモートワークの定着に合わせて、快適な作業環境を整えるリフォームの一環として検討する人が増えています。
マンションでのコンセント増設は可能か

戸建てと異なり、マンションでは共用部分や構造上の制限があるため、「そもそもコンセントの増設ってできるの?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
結論から言えば、多くの場合で増設は可能ですが、いくつかの確認事項と制約を把握しておく必要があります。
管理規約での確認事項

マンションにおけるリフォームは、管理規約や管理組合のルールに従う必要があります。
特にコンセントの増設を伴う工事は、「専有部分の電気工事」に該当するため、基本的には可能とされることが多いですが、事前に届け出や許可が求められるケースもあります。
たとえば、壁の内部に配線を通すような工事や、床や天井に手を加える場合は、管理組合への事前申請が必要になることが一般的です。
リフォーム業者と相談の上、規約に沿った手続きを行うことがトラブル回避のポイントです。
マンションの構造による制約
マンションの構造や築年数によっては、物理的に配線や設置が難しいケースもあります。
以下のような構造的なポイントを押さえておきましょう。
壁を壊せるケースと壊せないケース
マンションには「間仕切り壁」と「構造壁(耐力壁)」があります。
間仕切り壁であれば、比較的自由に穴を開けたり内部に配線を通したりできますが、構造壁は建物全体を支える重要な部分であるため、原則として壊したり加工したりすることはできません。
構造壁かどうかは専門業者が図面などを見て判断するため、事前にしっかりと調査してもらう必要があります。
配線経路の確保が必要
新たにコンセントを増設するには、分電盤からの配線経路を確保することが重要です。
マンションでは天井裏や床下にスペースがないことも多く、既存の配管ルートを使うか、露出配線で対応する場合もあります。
露出配線は見た目が気になるという方もいますが、モール(配線カバー)を使えば、ある程度スッキリとした仕上がりにすることも可能です。
美観と実用性のバランスを考えて工法を選びましょう。
増設前に確認すべき電気容量
コンセントを増やすということは、それだけ使用する電力量も増えるということです。
特に電子レンジやエアコンなど消費電力が高い家電を複数使用する予定がある場合、契約している電気容量(アンペア数)を超えてしまう可能性があります。
ブレーカーが頻繁に落ちるなどの症状がある場合は、コンセントの数だけでなく、電気契約のアンペア数の見直しや分電盤の容量増設も含めた検討が必要です。
これについても、電気工事士の資格を持つ業者に相談することが大切です。
マンションでコンセントを増設する3つの方法

コンセントの増設といっても、やり方は1つではありません。
目的や設置場所、予算に応じて、最適な方法を選ぶことが重要です。
ここでは、マンションでよく使われる3つの増設方法と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
差し込み口の数を増やす方法

最も手軽に行える方法が、既存のコンセントに新たな差し込み口を増やす方法です。
これはコンセントプレートを交換して、2口から3口・4口に増やすといった工事で、既存の配線をそのまま活用できるため、費用も比較的安く抑えられます。
タップとの違いと安全性
「それなら延長コードや電源タップでもいいのでは?」と思うかもしれませんが、電源タップはあくまで一時的な対応策であり、使い方を誤ると火災や感電のリスクが高まります。
一方、差し込み口を増やす方法は、配線容量の範囲内で安全に口数を増やすので、見た目もすっきりし、安全性も高いのが特徴です。
ただし、もとの回路にすでに多くの電力が流れている場合は、差し込み口を増やしてもブレーカーが落ちやすくなる可能性があるため、事前の確認が必要です。
既存の配線から分岐させる方法
壁内にある既存のコンセント配線を途中から分岐させて、新しい場所にコンセントを設置する方法です。家具の配置変更などで「ここにも欲しい」というときに便利な工事で、比較的コストも抑えられ、見た目もすっきり仕上がるのが魅力です。
ただし、分岐先に高出力の家電を使うと、元の配線に負荷がかかりすぎることがあります。
元の回路の使用状況を考慮して、安全に使える範囲で設置を検討する必要があります。
分電盤から専用の配線を引く方法
最も本格的な増設方法が、分電盤から新たに専用回路を引く方法です。
キッチンでのIHコンロ設置、エアコン、洗濯機、PCデスク周りなど、高出力機器や長時間の使用を前提とする場所におすすめです。
この方法は安全性と電力の安定供給に優れており、ブレーカーの負荷分散にもつながりますが、壁や床を一部開口する工事が必要になるため、費用と工期がやや大きくなります。
マンションの場合、配線ルートの確保や管理組合の許可が必要なケースもあるため、計画段階からリフォーム業者と相談するのがベストです。
各方法のメリット・デメリット比較

方法 | メリット | デメリット | 費用感(目安) |
差し込み口の数を増やす | 安価・工事が簡単・即日対応可能 | 回路の電力に制限あり | 約3,000~10,000円程度 |
既存配線から分岐 | コストバランス良・見た目もスッキリ | 回路負荷に注意・工事内容によって制限あり | 約10,000~30,000円程度 |
分電盤から新規配線 | 安定性抜群・高出力機器向き | 費用と手間が大きい・管理組合の許可が必要な場合あり | 約30,000~60,000円以上 |
コンセント増設にかかる費用相場

コンセントの増設は、方法や設置場所、工事内容によって費用に大きな幅があります。
ここでは、増設方法ごとの費用目安と、実際の見積もり金額に影響する費用変動の要因について解説します。
リフォームを検討する際の参考にしてください。
増設方法別の費用目安

差し込み口を増やすタイプ【5,000円〜】
既存のコンセントプレートを交換し、差し込み口の数を2口から3口、または4口に増やす方法です。
配線工事が不要な場合が多く、費用も安価で済むのが特徴です。
- 工事費込みで約5,000~10,000円が目安
- 作業時間は30分〜1時間ほど
- 安全性のため電気工事士による対応が基本
既存配線からの分岐【1万円〜】
壁内の配線から分岐し、新しいコンセントを別の場所に設置する方法です。
壁の中に配線を通す必要があるため、軽微な内装工事が必要になることもあります。
- 一般的な費用は10,000〜30,000円程度
- コンセント1カ所あたりの金額(複数設置で単価は下がることも)
- 壁紙の補修などが発生すると追加費用がかかることも
専用配線の新設【3万円〜】
分電盤から新たな回路を引き、新設する方法です。
高出力の家電や作業用スペースに最適ですが、工事内容が複雑で費用も高めです。
- おおよそ30,000〜60,000円以上が相場
- 複数の部屋にまたがる場合や、露出配線を避けたい場合はさらに高額に
- 工期は半日~1日程度が目安
費用変動の要因
内装工事の範囲による違い
コンセントの位置によっては、壁や床を開ける必要があり、内装工事が伴う場合があります。
この際に、クロス(壁紙)の張り替えや補修作業が発生することで、費用が増加します。
- 壁紙の補修:数千円〜1万円程度
- 複数箇所にまたがる場合はさらに費用アップ
露出型と埋め込み型の費用差
配線をモール(配線カバー)で壁に沿わせて取り付ける露出型か、壁内に配線を隠す埋め込み型かによっても費用に差があります。
- 露出型:施工が簡単で安価。配線が見えるがコスト重視の方におすすめ
- 埋め込み型:美観は良いが、手間と費用がかかる(5,000~1万円以上の差が出る場合も)
おすすめのコンセント増設場所と種類

コンセントの増設は、ただ数を増やすだけではなく、「どこに、どのタイプを設置するか」が快適な暮らしを左右します。
場所ごとの使い方に合わせて、適切な設置位置と種類を選ぶことで、生活動線や家事効率が格段にアップします。
ここでは、部屋ごとのおすすめポイントをご紹介します。
リビング・ダイニングでの設置ポイント

リビングやダイニングは、家族が集まる中心的な空間。テレビ、ゲーム機、スマホの充電、空気清浄機など、常に多くの電源が必要になる場所です。
壁面だけでなく、ソファの近くやダイニングテーブルの下などにもコンセントがあると便利です。
床コンセントの活用法
リビング中央など壁から離れた場所で電源を取りたい場合は、床コンセントの設置が効果的です。
特にダイニングテーブルの下に設置すれば、ホットプレートやノートPC、スマホ充電などがスムーズに行えます。
最近ではフラット型でつまずきにくいタイプも登場しており、見た目にも配慮された設計が可能です。
キッチンの効率的なコンセント配置
キッチンでは、電子レンジ・炊飯器・トースター・電気ケトルなど、多くの調理家電を同時に使う場面が多いため、コンセントが足りなくなりがちです。
- 作業台付近に数口のコンセントを設けておくと調理中の動作がスムーズに
- 冷蔵庫や食洗機用には専用回路を確保するのが理想
- 湿気対策として防水型やアース付きコンセントを選ぶのもポイントです
寝室・書斎での設置場所
寝室ではベッド周りにコンセントがあると、スマホ充電や間接照明、加湿器などの設置が便利です。
両サイドに設置することで、夫婦でそれぞれ使いやすくなります。
書斎では、パソコン・モニター・ルーター・プリンターなどを使用することが多いため、壁面に複数口のコンセントをまとめて設けるのがおすすめです。
テレワーク用のUSBポート付きコンセントプレートも人気があります。
洗面所・トイレでの利便性向上
洗面所は、ドライヤーや電動歯ブラシ、シェーバーなど電化製品が多い場所です。
鏡の横や洗面台のサイドにコンセントを設けることで、毎日の支度が格段に快適になります。
トイレでは、温水洗浄便座や暖房便座用の電源はもちろん、将来的な設備追加を見越して、壁の下部に1口程度設けておくと安心です。
収納スペースでの活用法
クローゼットや玄関収納、パントリーなどの収納スペースにも、意外とコンセントが役立つことがあります。
- 充電式掃除機の収納と充電場所を兼ねる
- 間接照明や防湿機器の設置
- 防犯・防災グッズ(非常用ライト、電池式機器)の充電
子ども部屋の安全な設置位置
子ども部屋では、安全性を最優先に考えたコンセントの配置が必要です。
- 低すぎる位置は避け、手の届きにくい高さに設置
- チャイルドロック機能付きコンセントやカバーを使用
- 将来の成長を見越して、学習机まわりやベッドの配置に応じた位置取りも検討しておくと、模様替えの際に困りません
コンセント増設工事の依頼先選び

コンセントの増設は、見た目以上に電気の知識と技術が必要な作業です。
適切な依頼先を選ぶことで、安全性・仕上がり・費用のすべてにおいて満足度が大きく変わります。
ここでは、主な依頼先の特徴と選び方、そしてDIYのリスクについて解説します。
電気工事店に依頼するメリット

電気工事を専門とする業者に依頼する場合、以下のようなメリットがあります。
⭕国家資格(電気工事士)を持つ技術者が対応
⭕コンセント設置だけでなく、分電盤の確認や電気容量のチェックも可能
⭕小規模の工事でも柔軟に対応してくれることが多い
費用は依頼内容により異なりますが、施工の安全性・技術力を重視したい方におすすめです。
特に分岐工事や専用回路の新設を検討している場合は、電気工事店への依頼が最も安心できる選択肢です。
家電量販店のサービス特徴
最近では、大手家電量販店でもコンセントの増設サービスを提供しています。
店頭やウェブサイトから簡単に申し込めるのが大きな特徴です。
✅価格が明朗でパッケージ化されていることが多い
✅家電の設置と同時に依頼できる場合もあり、効率的
✅下請けの電気工事士が対応するため、施工品質にばらつきがあるケースも
安心感はありますが、複雑な配線ルートが必要な場合やカスタマイズ性を求める場合には不向きなこともあります。
また、標準工事以外の追加料金が発生するケースもあるため、事前の見積もり確認は必須です。
リフォーム会社への一括依頼
内装リフォームや間取り変更と合わせて、トータルでコンセント配置を見直すならリフォーム会社がおすすめです。
✅内装・家具配置と連動したコンセント計画が立てやすい
✅壁紙補修なども含めて一括対応できる
✅電気工事士と連携したチームで動くため、安心感がある
リフォーム全体の一環としてまとめて依頼すれば、施工の手間や打ち合わせの回数が減り、コストパフォーマンスも向上します。
ただし、軽微な増設工事だけの場合は割高になることもあるので、工事内容と依頼先のバランスを見て選びましょう。
DIYの危険性と資格の必要性
「コンセントくらい自分で増やせるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、日本の法律では、電気工事士の資格がないとコンセントの新設・配線工事はできません。
🚨無資格で行う工事は法令違反であり、罰則の対象になる
🚨感電・火災など重大な事故につながる危険性も
🚨万一のトラブル時に火災保険が適用されない可能性もある
市販のタップや延長コードとは異なり、壁の内部での電気工事には高度な知識と技術が必要です。
安全面・法律面から見ても、DIYではなくプロに依頼するのが鉄則です。
コンセント増設の注意点とよくある質問

コンセント増設工事は、便利で快適な暮らしを支える重要なリフォームのひとつです。
しかし、施工の自由度には限りがあり、事前に知っておきたい制約やポイントがいくつかあります。
ここでは、増設に関する注意点と、よくある疑問について解説します。
増設できない場所について

マンションや住宅によっては、構造的・法的にコンセントの増設ができない場所も存在します。
- コンクリート構造の壁や柱は穴あけや配線が困難な場合がある
- 共有部分にあたる場所(玄関外の廊下など)は増設不可
- 水回り近くでの設置には法的な制限(感電リスクを避けるため)
施工前には、管理規約の確認と現場調査が必要です。
無理に増設しようとすると、違反行為や事故につながる恐れがあります。
最適な設置高さの目安
コンセントの設置高さは、使い勝手や用途によって調整が必要です。
以下は一般的な目安です。
用途・場所 | 設置高さの目安 |
一般的な壁面(家電用) | 床から25cm程度 |
キッチンカウンター周辺 | 床から100〜110cm程度 |
洗面所・化粧台周辺 | 床から80〜100cm程度 |
テレビ裏や冷蔵庫用 | 家電の高さに応じて調整 |
また、掃除機の充電やスマホの充電など、使用する機器のコード長や手の届きやすさも考慮して設計すると便利です。
将来を見据えた設置数と配置
現時点で足りていても、ライフスタイルや家電製品の増加に伴い、コンセントが再び不足する可能性があります。
以下のような点を踏まえて、少し余裕を持った計画を立てましょう。
- テレワークや在宅学習の増加に備えた書斎・子ども部屋の増設
- 高齢化に伴う介護機器や医療機器の導入想定
- 季節家電(扇風機・加湿器・ヒーターなど)の設置場所
今後の暮らしを見越して、「使っていない場所に1口追加する」意識が重要です。
賃貸マンションでの対応方法
賃貸住宅では、原状回復義務があるため、自由なコンセント工事は基本的にできません。
とはいえ、工夫次第で使いやすさを改善することも可能です。
- タップ式やUSB付き延長コードを使う
- モールで配線を隠せる露出型コンセント増設を、オーナーの許可を得て設置
- 一部では退去時に取り外せる簡易型の工事サービスを提供している業者もあり
必ず事前に管理会社や大家に相談し、書面で許可をもらうことが大切です。
無断での施工はトラブルの原因となるため避けましょう。
まとめ

マンションでのコンセント増設は、快適で効率的な暮らしを実現するための重要なポイントです。
家電の増加やライフスタイルの変化に合わせて、適切な場所に必要な数を確保することで、毎日のストレスを大きく減らすことができます。
ただし、マンションならではの管理規約や構造的な制約もあるため、事前の確認が欠かせません。
また、電気工事には資格が必要であり、安全面や法令順守の観点からも、専門業者に依頼するのが基本です。
費用や施工方法もさまざまで、それぞれにメリット・デメリットがあります。
自分たちの生活スタイルや将来の変化を見据えて、無理のない計画と信頼できる施工先選びを心がけましょう。
コンセントの位置や数を見直すだけで、住まいの使い勝手は大きく変わります。
リフォームや模様替えのタイミングで、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。