店舗リフォームに伴う減価償却と耐用年数の注意点

店舗リフォーム

店舗をリフォームする際、
「この費用は経費としてすぐに計上できるのか?」それとも「減価償却が必要なのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

リフォーム費用の取り扱いを誤ると、思わぬ税務リスクが発生することもあります。

本記事では、店舗リフォームにかかる減価償却の基本と、耐用年数の設定における重要なポイントを詳しく解説します。

正しく理解することで、適切な会計処理ができるだけでなく、節税対策にもつながります。
店舗オーナーや経営者の方は、ぜひ最後までご覧ください!

減価償却の基本概念

減価償却

減価償却とは

減価償却とは、資産の取得費用を一度に全額経費計上するのではなく、法定の耐用年数にわたって分割して費用として計上する会計処理のことを指します。
これは、建物や設備などの資産は長期間にわたって使用されるため、使用期間に応じて費用を配分するという考え方に基づいています。

例えば、店舗の内装工事に1,000万円をかけた場合、その金額を一度に経費計上するのではなく、税法で定められた耐用年数に応じて毎年一定額を費用として計上することになります。
これにより、適切な財務管理が可能になり、税負担を分散させることができます。

店舗リフォーム費用と減価償却

店舗のリフォーム費用がすべて減価償却の対象になるわけではありません。
リフォームの内容によっては、「修繕費」として一括で経費計上できる場合もあります。

① 修繕費として処理できるケース
・壁紙や床の張り替え
・空調設備の修理
・照明器具の交換

これらの修繕は、資産価値を維持する目的で行われるため、一括経費計上が認められる場合があります。

② 減価償却が必要なケース
・店舗の内装を全面的に改装
・仕切りや間取りの大幅な変更
・設備の新規導入(エアコン、厨房機器など)


このように、リフォームによって資産の価値が向上する場合や、耐用年数が延びる場合には、減価償却を行う必要があります。
どちらに該当するのかを判断することが、適切な税務処理のポイントとなります。

耐用年数の意味と役割

耐用年数とは、資産を使用できると法的に定められた期間のことで、減価償却の計算に用いられます
店舗のリフォームにかかる耐用年数は、リフォーム内容によって異なります。

例えば、以下のような耐用年数が設定されています。

資産の種類耐用年数
建物(鉄筋コンクリート造)47年
建物(木造)22年
内装・造作10~15年
エアコン・換気設備6~15年

耐用年数が長いほど、減価償却の期間が長くなり、毎年の経費計上額が少なくなります。
一方で、耐用年数が短い資産は早く経費計上ができるため、短期的な節税効果が期待できます。

リフォームを検討する際は、どの項目が減価償却の対象になるのか、耐用年数はどのくらいなのかを事前に把握することが重要です。
これにより、資金計画や税務処理をスムーズに進めることができます。

店舗リフォームの減価償却における耐用年数

ポイント

店舗をリフォームする際、減価償却の対象となる資産にはそれぞれ法定耐用年数が定められています
特に、自社所有の建物と賃貸物件では、適用される耐用年数が異なるため、適切に分類し、正しく計算することが重要です。

ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

自社所有建物の場合

自社で所有している建物をリフォームした場合、「建物本体」と「建物附属設備」の2つに分けて耐用年数を考える必要があります。

建物本体の耐用年数

建物の耐用年数は構造によって異なり、国税庁が定めた法定耐用年数に従って計算されます。

建物の構造耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC造)47年
鉄骨造(骨格の厚みにより変動)19~34年
木造22年

店舗のリフォーム内容が建物の構造部分に及ぶ場合、既存の建物の耐用年数を基準に減価償却を行う必要があります。

建物附属設備の耐用年数

建物に付随する設備(内装・設備機器など)は、建物本体とは別に耐用年数が設定されています。

設備の種類耐用年数
冷暖房・空調設備6~15年
照明設備15年
給排水・衛生設備15年
エレベーター17年

リフォームの際に設備を新しくした場合、それぞれの設備の耐用年数に従って減価償却を行います。

賃貸物件の場合

賃貸物件でリフォームを行う場合、貸主の建物とは別に「造作物」や「器具・備品」として資産を計上する必要があります。

造作物の耐用年数

賃貸物件において、店舗の内装や仕切りを変更する場合は「造作物」として扱われます。
造作物の耐用年数は、賃貸契約の残存期間または法定耐用年数のいずれか短い方が適用される点に注意が必要です。

造作物の種類耐用年数(目安)
壁・天井・床の内装15年
仕切りやパーテーション15年
看板・外装の改修10~15年

賃貸契約期間が5年しか残っていない場合、耐用年数15年の内装でも5年で償却しなければならないため、リフォームの計画時に考慮する必要があります。

器具・備品の耐用年数

リフォームに伴い、新しく導入する設備や什器は「器具・備品」として分類され、個別に耐用年数が設定されます。

器具・備品の種類耐用年数
机・椅子8年
厨房機器(業務用)6年
レジ・POSシステム5年
パソコン・プリンター4年

器具・備品は耐用年数が比較的短いため、早期に減価償却を終えることができるというメリットがあります。

減価償却の方法と仕訳処理

減価償却の方法と仕訳け

店舗リフォームにかかる費用は、資産として計上された場合、減価償却を行いながら一定期間にわたって経費として処理していきます。
減価償却にはいくつかの方法があり、それぞれ計算方法が異なります。また、減価償却には上限額が設定されており、適切な仕訳処理を行うことが重要です。

ここでは、具体的な減価償却の方法や仕訳のポイントを解説します。

定額法と定率法

減価償却の計算方法には主に「定額法」と「定率法」の2種類があり、どちらの方法を選択するかによって、毎年の償却額が変わります。

① 定額法(固定額を毎年償却する方法)

定額法は、耐用年数に応じて毎年同じ金額を減価償却する方法です。
減価償却費が一定で計算がしやすいため、多くの企業で採用されています。

計算式:

減価償却費=取得価額÷耐用年数減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数

例: 取得価額600万円、耐用年数15年の場合

600万円÷15年=40万円(毎年の減価償却費)600万円 ÷ 15年 = 40万円(毎年の減価償却費)

② 定率法(初年度に多く償却し、徐々に減少する方法)

定率法は、毎年資産の残存価額に一定の償却率を掛けて償却額を計算する方法です。
初年度に大きな償却費を計上できるため、早期に費用計上を進めることで節税効果を高めることができます。

計算式:

減価償却費=期首帳簿価額×償却率減価償却費 = 期首帳簿価額 × 償却率

例: 取得価額600万円、耐用年数15年、償却率0.125の場合

600万円×0.125=75万円(初年度の減価償却費)600万円 × 0.125 = 75万円(初年度の減価償却費)

翌年以降は、前年の残存価額に償却率を掛けて計算していきます。

償却可能限度額

減価償却を行う際には、「償却可能限度額」という概念があり、資産の残存価額(1円)を下回るまで償却することはできません
これは、企業が資産を完全に使い切るわけではなく、最終的に帳簿上に1円を残すことで、資産の存在を示すためです。

例えば、耐用年数15年の内装工事費600万円を定額法で償却する場合、毎年40万円ずつ償却し、15年目には1円が残ります。

また、少額減価償却資産(取得価額10万円未満の資産)は、一括して経費処理が可能です。
10万円以上20万円未満の資産は、3年間で一括償却する方法(少額減価償却資産の特例)を利用することもできます。

店舗リフォーム費用の仕訳例

実際に店舗リフォームを行い、減価償却をする際の仕訳処理を見てみましょう。

① 店舗リフォーム費用を資産計上する場合

例: 内装工事費600万円(税込660万円)を銀行振込で支払った場合

仕訳(資産計上時):

(借方)建物附属設備 6,000,000円 (貸方)普通預金 6,600,000円 

(借方)仮払消費税 600,000円 

② 減価償却費を計上する場合(定額法:耐用年数15年)

毎年の仕訳:

(借方)減価償却費 400,000円 (貸方)建物附属設備減価償却累計額 400,000円 

③ 修繕費として処理できる場合

例: 壁紙の張り替え費用50万円(税込55万円)を現金で支払った場合

仕訳(修繕費として処理):

(借方)修繕費 500,000円 (貸方)現金 550,000円 

(借方)仮払消費税 50,000円 

修繕費として認められるかどうかは、リフォームの内容によって異なるため、事前に税理士などに確認することをおすすめします

店舗リフォームの減価償却に関する注意点

減価償却に関する注意点

店舗のリフォームに伴う減価償却は、税務上のルールを正しく理解し、適切な処理を行うことが重要です。
特に、用途変更による耐用年数の見直し、資本的支出と修繕費の区分、取得価額の正確な把握などは、税務リスクを回避し、適正な経理処理を行ううえで欠かせません。

ここでは、店舗リフォームの減価償却における主な注意点を解説します。

用途変更による耐用年数の見直し

リフォームを行い、店舗の用途が変更された場合、耐用年数を見直す必要がある場合があります。
例えば、倉庫を飲食店に改装したり、オフィスを小売店舗として使用したりする場合、新しい用途に適した耐用年数を適用しなければなりません。

耐用年数の変更が必要なケース
倉庫をレストランに改装(用途が大きく変わる)
事務所を物販店舗に改装(顧客の出入りが多くなる)
一般住宅を美容院やカフェに改装(業務用設備を導入)

これらのケースでは、国税庁が定める耐用年数表をもとに、適切な耐用年数を再評価しなければなりません。
誤った耐用年数を設定すると、税務調査で指摘を受ける可能性があるため注意が必要です。

資本的支出と修繕費の区分

店舗リフォーム費用は、「資本的支出」と「修繕費」に分けて処理することが重要です。
この区分を誤ると、税務上の問題が発生する可能性があります。

① 資本的支出(減価償却が必要)

「資本的支出」とは、建物や設備の価値を向上させたり、耐用年数を延長したりするためのリフォーム費用のことです。
これに該当する場合、資産計上して減価償却を行う必要があります。

資本的支出に該当する例
・店舗の全面改装(間取り変更や大規模な造作工事)
・エアコンの新規設置(既存設備の機能向上)
・厨房設備のグレードアップ

② 修繕費(一括経費計上が可能)

「修繕費」とは、店舗の原状回復や機能維持のための費用であり、一括で経費計上が可能です。

修繕費に該当する例
・床や壁紙の張り替え(デザイン変更なし)
・既存設備の修理(エアコンの修理、配管の補修など)
・看板の塗り直し

資本的支出と修繕費の判定は、金額やリフォーム内容によって判断されるため、税理士や会計士に相談することをおすすめします

取得価額の把握と償却計算

リフォームにかかった費用を適切に減価償却するためには、取得価額を正しく把握し、適切な計算を行うことが不可欠です。

① 取得価額に含めるべき費用

減価償却の対象となる取得価額には、以下のような付随費用も含める必要があります。

設計費・施工管理費(工事業者への支払い)
解体・撤去費用(旧設備の撤去など)
設備の設置費用(エアコンや厨房機器などの設置工事費)
許可申請費用(消防や保健所への手続き費用)

取得価額を適切に計算しないと、減価償却費の計上額に誤りが生じ、税務リスクが発生する可能性があります。

② 減価償却費の計算例(定額法)

例: 取得価額600万円、耐用年数15年の場合

600万円÷15年=40万円(毎年の減価償却費)600万円 ÷ 15年 = 40万円(毎年の減価償却費)

この金額を毎年経費として計上します。

誤って一括経費処理をすると、税務調査時に指摘を受ける可能性があるため、適切な計算方法を選択しましょう。

まとめ

まとめ

店舗リフォームに伴う減価償却は、適切な会計処理を行うことで、税務リスクを回避しながら経費を計上する重要なプロセスです。
本記事では、リフォーム費用の減価償却に関する基本的な考え方や注意点を解説しました。

✅ 主なポイントは以下の3つです。

1️⃣ リフォームの内容によって耐用年数が変わることを理解する
 - 用途変更がある場合、新しい耐用年数を適用する必要があります。

2️⃣ 資本的支出と修繕費を正しく区分する
 - 建物の価値向上や耐用年数延長の工事は「資本的支出」として減価償却が必要。
 - 原状回復や軽微な補修は「修繕費」として一括経費計上が可能。

3️⃣ 取得価額を正しく把握し、適切な減価償却計算を行う
 - 設計費・解体費・設備設置費などを含めた取得価額を計上し、定額法または定率法で減価償却を実施。

適切な減価償却を行うことで、資金計画をスムーズに進めながら節税対策にもつながります
リフォームを計画する際は、税務処理のルールを理解し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。

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この記事を書いた人

森 卓也

森 卓也

㈱ベータ取締役。
平成元年生まれ。三重県亀山市出身。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
大学院在学中に不動産管理法人を設立し、20代で不動産オーナーに。
大学院(MBA)や不動産オーナーの経験を活かし、リフォーム費用を抑えるコツや信頼できる業者選びの秘訣など、リフォームに関して有益な情報を発信。

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