マンションの浴室に後付けできる乾燥機のリフォーム方法と費用

梅雨の時期や冬場など、洗濯物がなかなか乾かない季節に重宝するのが浴室乾燥機。
しかし、マンションに後から取り付けるとなると、「うちでも本当に設置できるの?」「工事って大がかりになるのでは?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、最近では後付け可能な浴室乾燥機の選択肢も増えており、リフォームで快適さをぐっとアップさせることができます。
この記事では、マンションの浴室に後付けできる乾燥機の種類やリフォーム方法、そして気になる費用について、分かりやすく解説します。
目次
浴室乾燥機とは

浴室乾燥機とは、浴室内に設置して乾燥・換気・暖房・涼風などの機能を持つ設備機器のことを指します。
ここでは浴室乾燥機の機能と特徴、浴室暖房機との違いについて解説します。
浴室乾燥機の機能と特徴

浴室乾燥機は、浴室内に設置することで衣類の乾燥や浴室の湿気対策ができる便利な設備です。
主な機能としては、衣類乾燥・換気・暖房・冷風・防カビなどがあり、製品によっては複数の機能を備えています。
特に注目されるのが、雨の日や花粉・黄砂が気になる季節でも室内で洗濯物をスピーディーに乾かせる衣類乾燥機能。
共働き家庭や室内干しに悩む方にとっては非常に頼りになる存在です。
また、浴室内の湿気を効率よく排出してくれるため、カビの発生を防ぎ、清潔な環境を保つという点でもメリットがあります。
最新の機種では、省エネ性能の向上や操作パネルの使いやすさ、スマートフォン連携なども進んでおり、より便利に使えるようになっています。
浴室暖房機との違い
「浴室乾燥機」とよく混同されるのが「浴室暖房機」です。
両者の大きな違いは、乾燥機能の有無です。
✅浴室乾燥機:衣類乾燥、浴室の乾燥、暖房、換気など複数の機能を持つ
✅浴室暖房機:主に浴室を温めるための設備で、乾燥機能は搭載されていないことが多い
浴室暖房機は、冬場の寒い浴室を快適にするために活躍しますが、衣類を乾かす機能はありません。
そのため、洗濯物を干したい・カビ対策をしたいという目的がある場合は「浴室乾燥機」を選ぶのが適切です。
マンションの浴室に後付けできる浴室乾燥機の種類
浴室乾燥機にはいくつかのタイプがあり、マンションの構造や浴室の広さ、工事のしやすさによって適したタイプが異なります。
ここでは代表的なタイプとその特徴をご紹介します。
天井埋め込み型(ビルトイン)

天井埋め込み型は、浴室の天井に本体を埋め込むタイプで、見た目がすっきりして高級感があるのが特徴です。
換気扇の位置に取り付けるケースが多く、既存の換気設備を活かして設置できることもあります。
ただし、天井裏にある程度のスペースが必要になるため、設置可否は建物の構造に左右されることがあります。
リフォーム時には専門業者による事前調査が欠かせません。
天井取付型

天井に露出して取り付けるタイプで、埋め込み型より施工が比較的簡単で、後付けにも向いています。
デザイン性では埋め込み型に劣る部分がありますが、配線やダクトの工事が少なくて済むため、工期や費用を抑えたい方におすすめです。
浴室の換気扇をそのまま残して、独立した乾燥機として設置することも可能です。
壁掛け型

壁に設置するタイプの浴室乾燥機は、後付けしやすく賃貸物件などでも対応可能なことがあるのがメリットです。
配線やダクトの工事が少なく、最も手軽に導入できるタイプです。
一方で、乾燥の効率や風の循環にやや劣る場合があり、広い浴室には不向きなこともあります。
コンパクトなユニットバスや、簡易的な乾燥機能を求める方に向いています。
電気式とガス式の違い
浴室乾燥機は、動力源によって「電気式」と「ガス式」に分かれます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
✅電気式:
・設置が比較的簡単で、多くのマンションに対応可能
・初期費用が安く、コンパクトな機種が多い
・乾燥スピードはやや遅めだが、近年は性能も向上
✅ガス式:
・乾燥スピードが速く、ランニングコストが低め
・強力な暖房やミスト機能付きのモデルもある
・ガス配管工事が必要な場合があり、初期費用はやや高め
マンションによってはガス式の設置が難しい場合もあるため、電気式が主流ですが、戸建て感覚の設備が整った物件ではガス式も選択肢に入ります。
浴室乾燥機の後付け設置のメリット

浴室乾燥機を後付けで設置することで、日常生活が格段に快適になります。
ここでは特に注目すべき3つのメリットをご紹介します。
花粉・PM2.5対策になる

春先の花粉や、年間を通じて気になるPM2.5・黄砂など、外気の汚れが気になる日には、洗濯物を外に干すのが不安になります。
浴室乾燥機があれば、外に干さずに清潔な室内で衣類を乾かすことができるため、アレルギー持ちの方や小さなお子様がいるご家庭にも安心です。
特に都市部では空気の質が安定しない日も多いため、浴室乾燥機は空気環境に左右されない洗濯スタイルを実現してくれる強い味方です。
梅雨や雨の日も洗濯物が乾く
梅雨の時期や天候が不安定な日が続くと、部屋干しの湿気や臭いに悩まされる方も多いのではないでしょうか。
浴室乾燥機を使えば、天気に関係なく洗濯物をしっかり乾かすことができ、部屋干し特有の生乾き臭も防げます。
また、洗濯物を干す場所に悩まされることもなくなり、リビングや寝室が洗濯スペースになるのを避けられるため、生活空間がすっきり保てるのも大きなメリットです。
ヒートショック予防になる
冬場の寒い浴室での入浴は、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、ヒートショックを引き起こす原因になります。
特に高齢者にとっては、命に関わるリスクにもつながりかねません。
浴室乾燥機には暖房機能を備えたタイプも多く、入浴前に浴室をあたためておくことで、このリスクを大幅に軽減することができます。
家族の健康を守るためにも、浴室の暖房対策はとても重要です。
浴室乾燥機を後付けできないケース

便利な浴室乾燥機ですが、マンションの構造や既存設備によっては後付け設置が難しいケースもあります。
設置を検討する前に、次のような点を確認しておくことが重要です。
天井に設置スペースがない

浴室乾燥機の多くは天井への取り付けが前提となっています。
そのため、天井裏に機器本体を収納できるだけのスペースがない場合、埋め込み型や一部の天井取付型は設置が困難です。
特に築年数の古いマンションでは、天井裏のスペースが極端に狭かったり、配管や構造材が密集していて設置場所が確保できないケースがあります。
このような場合は、壁掛け型などスペースを取らないタイプの検討や、設置そのものを見送る判断が必要になることもあります。
浴室に換気扇がない
浴室乾燥機は、基本的に換気機能を兼ね備えているため、既存の換気扇と置き換える形で設置されることが多いです。
逆に言えば、そもそも換気扇が設置されていない浴室には対応が難しいということでもあります。
また、換気扇が設置されていても、特殊なサイズや構造で一般的な浴室乾燥機が取り付けられないケースもあります。
この場合は、追加の換気ダクト工事や特注対応が必要になり、費用や工期が大きく膨らむ可能性があります。
分電盤に空きがない
電気式の浴室乾燥機を設置する際は、専用の電源回路が必要です。
そのため、分電盤(ブレーカー)に空き回路がない場合や、電気容量に余裕がない場合は設置できないことがあります。
特にオール電化住宅や古い集合住宅では、電気の使用容量が限られていることがあり、乾燥機を使うとブレーカーが落ちてしまうといったトラブルも考えられます。
このような場合は、分電盤の増設工事や契約アンペア数の変更が必要となるため、専門業者による事前確認が欠かせません。
浴室乾燥機の後付け費用の目安

浴室乾燥機を後付けする際には、本体の価格だけでなく、設置工事費用やランニングコスト(電気代・ガス代)も考慮する必要があります。
ここでは、それぞれの費用の目安について詳しく解説します。
本体の価格

浴室乾燥機の本体価格は、機種のタイプや搭載機能によって大きく異なります。
📌【壁掛け型】:約3万〜7万円程度
📌【天井取付型】:約5万〜10万円程度
📌【天井埋め込み型(ビルトイン)】:約7万〜15万円程度
📌【ミストサウナ付きや多機能モデル】:15万円以上
シンプルな乾燥機能のみの製品であれば比較的安価ですが、暖房・涼風・換気などの多機能モデルやスマート機能が付いたものは価格が高くなる傾向にあります。
工事費用
工事費用は、既存の浴室の構造や設備状況に大きく左右されますが、平均的には5万〜15万円前後が目安です。
浴室の広さによる違い
浴室が広い場合、出力の高い機種が必要になったり、ダクトの延長工事が必要になることもあり、工事費用が高くなりがちです。
反対に、ユニットバスなどの狭めの浴室では、工事も比較的シンプルになり、費用を抑えられるケースが多いです。
100Vと200Vの違い
電気式乾燥機は、100Vと200Vの電圧タイプがあり、200Vタイプはよりパワフルで乾燥能力に優れています。
しかし、分電盤に200Vの回路がない場合は、専用回路の増設工事が必要となり、その分費用がかさむ可能性があります。
📌100Vタイプ:家庭用の一般的な電源で対応可能、工事がシンプル
📌200Vタイプ:性能が高いが、工事費は追加で2万〜5万円程度かかることも
電気代・ガス代
乾燥機を日常的に使うなら、ランニングコストも気になるところです。
✅電気式:1回あたりの乾燥にかかる電気代は約30〜50円程度(機種や使用時間による)
✅ガス式:ガス代は1回あたり20〜40円程度とされており、乾燥時間が短く経済的な場合が多いです。ただし、ガスの基本料金が別途かかる点には注意が必要です。
頻繁に使用する家庭では、初期費用だけでなく、長期的なランニングコストも比較して選ぶのが賢い選択です。
浴室乾燥機の光熱費を節約する方法

浴室乾燥機は便利な反面、毎日使うとなると光熱費が気になる方も多いはず。
少しの工夫で電気代・ガス代を抑えつつ、効率よく乾燥させることができます。
ここでは、節約につながる4つの具体的なポイントをご紹介します。
使用前に浴室内の水分を拭き取る
浴室乾燥機を使う前に、床や壁に残った水滴をタオルなどで軽く拭き取っておくだけで、乾燥時間を短縮でき、光熱費の節約につながります。
水分が多いとその分、空気を乾燥させるのに時間とエネルギーがかかるため、ひと手間かけることで効率が大きくアップします。
特にお風呂上がりの使用時は、換気扇を数分回してから乾燥モードに切り替えるのもおすすめです。
洗濯物を室内で半乾きにしてから乾燥機を使う
洗濯物をすぐに浴室乾燥機にかけるのではなく、一度室内で少し乾かしてから浴室で仕上げ乾燥する方法も有効です。
これにより、浴室での稼働時間を短縮でき、電気代・ガス代の節約になります。
とくに夏場や湿度が低い日には、1〜2時間室内干しをしてから乾燥機を使うだけでも大幅な節電効果が期待できます。
扉を閉めてこまめに換気する
乾燥中は浴室の扉をしっかり閉めておくことが基本です。
扉が開いたままだと、温風や乾燥した空気が逃げてしまい、無駄にエネルギーを使ってしまいます。
また、使用後はこまめに換気を行うことで、次回使用時に湿気が残っておらず、乾燥効率が高まります。
24時間換気がある場合は、浴室乾燥後もしばらく稼働させておくと効果的です。
フィルターを定期的に掃除する
浴室乾燥機のフィルターにホコリやゴミがたまると、風量が落ちて乾燥効率が悪くなり、結果的に運転時間が長くなるため、光熱費が増加します。
月に1〜2回を目安に、フィルターのほこりを掃除機やブラシで取り除くようにしましょう。
製品によってはフィルター掃除のタイミングを知らせてくれるモデルもあるので、こまめなメンテナンスを心がけることが重要です。
まとめ

マンションの浴室に後付けできる浴室乾燥機は、洗濯物の乾燥や浴室のカビ対策、ヒートショック予防など、日常生活を快適にする多くのメリットがあります。
特に、天候や季節に左右されずに洗濯できるのは大きな魅力です。
一方で、設置にはスペースや電源などの制約があるため、事前の確認が重要です。
また、設置後の光熱費も気になるところですが、ちょっとした工夫や使い方次第でしっかり節約することも可能です。
浴室乾燥機の導入は、快適な暮らしへの投資とも言えるリフォーム。
ご自身のライフスタイルや浴室環境に合わせて、最適な機種や工事方法を選ぶことが、長く満足できるポイントです。
これから設置を検討する方は、まずは信頼できる専門業者に相談し、現地調査を受けることから始めてみましょう!