シート防水とは?特徴・種類・工法・メリット・デメリットを徹底解説!

雨漏りや建物の老朽化を防ぐために欠かせない防水工事。
その中でも、シート防水は耐久性や施工性の高さから、多くの建物で採用されています。
しかし、シート防水と一口に言っても、種類や工法は様々。
「シート防水ってどんなもの?」
「うちの建物にはどの種類が合っているの?」
「費用はどれくらいかかるの?」
この記事では、そんな疑問や悩みを抱えるあなたのために、シート防水の基本から選び方、工法、費用まで、プロの視点から徹底的に解説します。シート防水の全てを知り、あなたの建物に最適な防水対策を見つけましょう。
目次
シート防水の基本知識

シート防水とは?その仕組みと特徴
シート防水とは、合成ゴムや塩化ビニルなどの素材で作られた防水シートを、建物の屋上やベランダなどに専用の接着剤や機械を用いて貼り付ける工法です。
工場で均一に生産されたシートを使用するため、品質が安定しやすく、広い面積への施工にも適しています。
シート防水の最大の特長は、シート自体が防水性を持つため、塗膜防水のように塗り重ねる必要がなく、均一な防水層を形成できる点です。
これにより、施工後の品質が安定し、長期にわたって高い防水性を維持することができます。
また、シート防水は、他の防水工法と比較して工期が短く、施工時の騒音や臭いも少ないため、周辺環境への影響を最小限に抑えることができます。
他の防水工法との違い
シート防水と他の代表的な防水工法との違いを、具体的に比較してみましょう。
ウレタン防水:
液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成します。
複雑な形状にも柔軟に対応できるのが強みですが、乾燥時間や気温・湿度に左右されやすいという側面も。
FRP防水:
ガラス繊維強化プラスチック(FRP)を使用した防水工法で、硬く耐久性に優れています。
主にベランダやバルコニーなどの比較的小さな面積に適しています。
アスファルト防水:
アスファルトルーフィングというシートを重ねて貼り付ける工法で、耐久性が非常に高いのが特徴です。
主に大規模な建物の屋上に用いられますが、施工時の熱や臭いが課題となる場合があります。
このように、各防水工法はそれぞれ異なる特性を持っており、建物の構造や使用状況、予算などに応じて最適な工法を選ぶことが重要です。
シート防水が適している建物、場所
シート防水は、その特性から特に以下の建物や場所に最適です。
広い屋上や陸屋根:
大規模な工場や倉庫、マンションなど、広い面積を持つ建物に最適です。
シート防水は広い面積に効率的に施工できるため、工期を短縮し、コストを抑えることができます。
既存防水層の改修:
既存の防水層の上から施工できる場合もあり、改修工事に適しています。
これにより、既存の防水層を撤去する手間と費用を削減できます。
比較的平坦な場所:
シート防水は、複雑な形状よりも比較的平坦な場所への施工が得意です。
そのため、屋上やバルコニーなど、比較的平坦な場所に適しています。
ただし、シート防水は複雑な形状や入り組んだ場所には不向きな場合があります。
例えば、以下のようなケースでは他の防水工法が適している可能性があります。
複雑な形状のベランダやバルコニー:
入り組んだ形状や狭い場所では、ウレタン防水やFRP防水が適しています。
頻繁に人が出入りする場所:
頻繁に人が出入りする場所では、シートが損傷する可能性がある為、保護層を設けるなどの対策が必要となります。
シート防水の種類と特徴

塩ビシート防水の特徴とメリット・デメリット
塩ビシート防水は、塩化ビニル樹脂で作られた防水シートを貼り付ける工法です。
耐久性、耐候性、耐薬品性に優れているのが特徴で、幅広い建物に対応できます。
メリット
耐久性が高い:
・紫外線や熱、雨など、様々な気候条件に強く、長期にわたって防水性を維持します。
・耐用年数は15年以上と比較的長いです。
耐候性、耐薬品性に優れている:
・酸性雨や化学物質にも強く、工場や倉庫など、過酷な環境下でも使用できます。
施工性が良い:
・比較的軽量で柔軟性があるため、複雑な形状の場所にも施工しやすいです。
・熱融着による接合が可能なので、継ぎ目からの漏水リスクを低減できます。
メンテナンス性が良い:
・表面が滑らかで汚れにくく、メンテナンスも比較的容易です。
デメリット
初期費用が高い:
・材料費や施工費が、他の防水工法に比べて高くなる傾向があります。
低温に弱い:
・低温下では硬くなりやすく、施工が難しくなる場合があります。
環境への影響:
・塩化ビニル樹脂は、焼却時にダイオキシンなどの有害物質を発生させる可能性があります。
ゴムシート防水の特徴とメリット・デメリット
ゴムシート防水は、合成ゴムで作られた防水シートを貼り付ける工法です。
柔軟性、伸縮性に優れているのが特徴で、建物の動きに追従しやすいです。
メリット
柔軟性が高い:
・建物の動きや伸縮に追従しやすく、ひび割れしにくいです。
・地震の多い地域や、木造建築など、建物の動きが大きい建物に適しています。
施工が容易:
・シート自体が比較的軽く、カッターなどで容易に切断できるため、施工が容易です。
・広い面積でも短期間で施工できます。
比較的安価:
・材料費や施工費が、塩ビシート防水に比べて安価な傾向があります。
デメリット
耐久性が低い:
・紫外線や熱に弱く、塩ビシート防水に比べて耐久性が低いです。
・耐用年数は10年~15年程度です。
耐候性、耐薬品性が低い:
・酸性雨や化学物質に弱く、劣化しやすいです。
メンテナンスが必要:
・定期的なメンテナンスが必要になります。
それぞれのシートの選び方
塩ビシート防水とゴムシート防水は、それぞれ異なる特徴を持っています。
建物の種類や場所、予算などを考慮して、最適なシートを選ぶことが重要です。
耐久性、耐候性を重視する場合:
・塩ビシート防水が適しています。
・工場や倉庫、大規模な建物など、長期的な防水性を求める場合に最適です。
柔軟性、施工性を重視する場合:
・ゴムシート防水が適しています。
・ベランダやバルコニー、木造建築など、比較的狭い場所や建物の動きが大きい場合に最適です。
予算を重視する場合:
・ゴムシート防水の方が初期費用を抑えられます。
・ただし、長期的なメンテナンス費用も考慮する必要があります。
シート防水の工法を徹底解説

密着工法

密着工法は、防水シートを接着剤で下地に直接貼り付ける工法です。
下地との密着性が高く、耐風圧性に優れているのが特徴です。
メリット
- 耐風圧性に優れている:シートが下地にしっかりと接着されるため、強風による剥がれの心配が少ない。
- 比較的安価:機械固定工法に比べて、施工費用が抑えられる傾向がある。
- 狭い場所にも適している:機械を使用しないため、ベランダなどの狭い場所にも施工しやすい。
デメリット
- 下地の状態に左右される:下地の乾燥や平滑性が不十分だと、膨れや剥がれが発生しやすい。
- 下地の影響を受けやすい:下地の動きに追従しにくく、ひび割れが発生する可能性がある。
施工手順
- 下地処理:下地の清掃、乾燥、不陸調整などを行う。
- プライマー塗布:接着剤の密着性を高めるために、プライマーを塗布する。
- 防水シート貼り付け:接着剤を塗布し、防水シートを貼り付ける。
- 圧着:ローラーなどで圧着し、シートを密着させる。
- 仕上げ:シートの継ぎ目や端末部分を処理する。
機械固定工法

機械固定工法は、防水シートを専用の金具で下地に固定する工法です。
下地の影響を受けにくく、通気性に優れているのが特徴です。
メリット
- 下地の影響を受けにくい:下地の状態に左右されにくく、様々な下地に対応できる。
- 通気性に優れている:通気層を設けることで、下地の湿気を逃がし、膨れを防ぐ。
- 広い面積に適している:大規模な屋上など、広い面積にも効率的に施工できる。
デメリット
- 施工費用が高い:専用の金具や機械を使用するため、密着工法に比べて費用が高くなる傾向がある。
- 風の影響を受けやすい:シートが下地から浮いているため、強風の影響を受けやすい。
- 狭い場所には不向き:機械を使用するため、狭い場所には施工が難しい。
施工手順
- 下地処理:下地の清掃、不陸調整などを行う。
- 通気緩衝シート敷設:下地の湿気を逃がすために、通気緩衝シートを敷設する。
- 固定金具取り付け:専用の金具で防水シートを固定する。
- 防水シート敷設:防水シートを敷設し、固定金具に取り付ける。
- 仕上げ:シートの継ぎ目や端末部分を処理する。
各工法が適しているケース
密着工法:
・ベランダやバルコニーなど、比較的狭い場所
・コンクリート下地など、平滑で乾燥した下地
・費用を抑えたい場合
機械固定工法:
・広い屋上や陸屋根
・既存の防水層が劣化している場合
・下地の状態が悪い場合
・通気性を確保したい場合
シート防水のメリット・デメリット

シート防水のメリット
シート防水は、その特性から多くのメリットを持つ防水工法です。
高い耐久性:
・工場で均一に生産されたシートを使用するため、品質が安定しやすく、長期にわたって防水性能を維持できます。
・特に塩ビシート防水は、耐候性、耐薬品性に優れており、15年以上の耐用年数も期待できます。
優れた施工性:
・広い面積にも比較的短時間で施工できるため、工期を短縮できます。
・シート自体が軽量で柔軟性があるため、施工時の作業性も良好です。
安定した品質:
・工場生産されたシートは、現場での施工品質に左右されにくく、安定した性能を発揮します。
・液状の材料を塗り重ねる工法と違い、厚みが均一になるため品質が安定します。
多様な下地に対応:
・既存の防水層の上から施工できる場合もあり、改修工事にも適しています。
・下地の状態に左右されにくい機械固定工法もあります。
シート防水のデメリット
一方で、シート防水にはいくつかのデメリットも存在します。
複雑な形状への不向き:
・シート状の材料を使用するため、複雑な形状や入り組んだ場所への施工は難しく、仕上がりが不均一になる可能性があります。
・複雑な形状の場所では、ウレタン防水など他の防水工法が適している場合があります。
施工技術の必要性:
・シートの継ぎ目や端末部分の処理には、高い技術が必要です。
・施工不良があると、そこから漏水するリスクがあります。
シートの選定:
・シートの種類により、耐用年数や、メリット、デメリットが違うため、建物の場所や環境にあわせたシートの選定が必要です。
シート防水の費用相場

種類別、工法別の費用相場
シート防水の費用は、使用するシートの種類、工法、施工面積、下地の状態などによって大きく変動します。
一般的な費用相場は以下の通りです。
シートの種類別費用相場
・塩ビシート防水:4,000円~8,000円/㎡
・ゴムシート防水:3,000円~7,000円/㎡
工法別費用相場
・密着工法:4,000円~6,000円/㎡
・機械固定工法:5,000円~8,000円/㎡
これらの費用には、材料費、施工費、諸経費などが含まれます。
ただし、これらの費用はあくまで目安であり、実際の費用は建物の状況や業者によって異なるため、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。
費用を抑えるためのポイント
シート防水の費用を抑えるためには、以下のポイントに注意しましょう。
複数の業者から見積もりを取る:
・複数の業者から見積もりを取り、比較検討することで、適正な価格で施工してくれる業者を見つけることができます。
相見積もりを取る:
・最低でも、3社以上の業者に見積もりを依頼して比較検討する。
シートの種類を検討する:
・耐久性や耐候性を考慮しつつ、予算に合ったシートを選びましょう。
施工時期を検討する:
・繁忙期を避けて施工することで、費用を抑えられる場合があります。
メンテナンスも考慮する:
・長期的にみると、メンテナンスも含めたトータルコストで比較することが重要です。
見積もりの注意点
見積もりを取る際には、以下の点に注意しましょう。
見積もりの内訳を確認する:
・材料費、施工費、諸経費などの内訳が明確に記載されているか確認しましょう。
保証内容を確認する:
・施工後の保証内容や期間を確認しましょう。
施工実績を確認する:
・業者の施工実績や評判を確認しましょう。
現地調査をしてもらう:
・正確な見積もりをだしてもらう為にも、必ず、現地調査をしてもらいましょう。
追加費用について確認する:
・後から追加費用が発生しないか確認しておきましょう。
まとめ

この記事では、シート防水の基本知識から種類、工法、費用まで、幅広く解説しました。
シート防水は、高い耐久性と施工性を持ち、様々な建物に対応できる優れた防水工法です。
しかし、建物の形状や状態によっては、他の防水工法が適している場合もあります。
シート防水を検討する際には、この記事で解説した内容を参考に、建物の特性や予算に合った最適な工法を選びましょう。
もし、ご自身の建物にシート防水が適しているか、どの種類のシートや工法を選べば良いかなど、疑問や不安があれば、お気軽に株式会社ベータまでお問い合わせください。
専門のスタッフが丁寧にお答えし、最適な防水対策をご提案いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。